2015年04月07日

旧校舎の怪物

0.KPをする方へ
 このシナリオはキャンペーン『砂州良学園の七不思議』の第1話として作成されたものです。始める前に概要を読むことをお勧めします。
 第1話であるため、このシナリオ単独で遊ぶことも可能ですが、その場合いくつか判明しない謎が残ることになるかもしれません。

1.あらすじ
 探索者は友人である新聞部部長、石崎千恵子から肝試しの誘いを受けます。なんでも、七不思議すべての正体を解き明かして、新聞のネタにしたいのだそうです。
 探索者は忍び込んだ旧校舎で謎の地震に遭い、閉じ込められてしまいます。探索者たちは校舎から脱出することが出来るのでしょうか。

2.登場人物
 石崎千恵子 17歳(高等部2年) 女 新聞部部長
 STR9 CON11 POW12 DEX10 APP17 INT14 SIZ11 EDU14
 HP11 MP12 アイデア70% 知識70% 幸運60% SAN60/99 db0
 回避20% 写真術60% 機械修理50% 電気修理40% 言いくるめ50%
 心理学60% 母国語80% オカルト30%
 持ち物:デジタルカメラ スマホ ペンと手帳 ICレコーダー
 本キャンペーンの中心人物です(一応)。砂州良学園の七不思議の正体を突き止めることに情熱を燃やしています。
 今の性格と興味は父親がジャーナリストだったためでしょうか。
 あまり後先考えない性格のため危険に気が付かずに突っ込むことが多々あります。
 ただ、結構ビビりなので肝試しには大勢で行こうと画策しています。

 東城由香 15歳(中等部3年) 女 第28代中等部生徒会副会長
 人間の姿
 STR15 CON13 POW14 DEX11 APP14 INT13 SIZ16 EDU13
 HP15 MP14 アイデア65% 知識65% 幸運70% SAN0/99 db+1D6
 回避22% 経理55% 英語70% 信用60% 説得50%
 持ち物:生徒手帳 中には生徒会のメンバーと撮った写真が入っている
 ショゴスの姿
 STR34(東城の部分は20) CON42 POW10 DEX6 INT13 SIZ42
 HP46 MP10 db+3D6
 攻撃 押しつぶし 70% dbとおなじ
 装甲 なし。ただし電気と火の攻撃は半減。物理的なダメージは1点。1Rに耐久力を2点回復。
 砂州良学園の元生徒会副会長です。記憶を失っているようで自分がなぜここにいるのかも覚えていないようです。
 かなり昔に失踪しているので、制服は前の時代のものを着ています。
 その他、見覚えのないカーディガンを羽織っていて両手はすっぽり隠れています。
 その両手にはぶるぶると震える灰色の粘着質の塊を持っています。
 この塊は深きもののショゴス=トゥシャの性質に目を付けた理事長たちの手によって実験的に取り付けられたものです。
 その冒涜的な実験のために東城の精神は壊れてしまっていて廃人同然となっています。
 結合が不完全なためと東城の精神が壊れているため、ショゴスを支配しつつも一切命令はしないという奇妙な同居をしています。

 小宮山香帆 13歳(中等部1年) 薄幸の少女
 STR9 CON8 POW10 DEX9 APP14 INT10 SIZ7 EDU11
 HP8 MP8 アイデア50% 知識55% 幸運50% SAN41/99 db-1D4
 回避18% 生物学40% 芸術(華道)50% 芸術(園芸)50% クトゥルフ神話5%
 持ち物 壊れた懐中電灯 生徒手帳
 肝試しにやってきて液体に襲われた少女です。そのせいで一度一時的狂気にも陥っています。
 趣味は華道と園芸です。植物が好きなようで、彼女が持っている小物にもあしらわれています。

 日高京子 13歳(中等部1年) 不運な犠牲者
 小宮山香帆と共に肝試しに旧校舎へやってきた少女です。
 ショゴスに飲まれて死にます。

 長坂瑛太 13歳(中等部1年) 小心な少年
 STR10 CON11 POW8 DEX12 APP10 INT10 SIZ12 EDU11
 HP12 MP8 アイデア50% 知識55% 幸運40% SAN40/99 db0
 回避24% 隠れる55% 忍び歩き60% 拳銃20% オカルト40% 機械修理40% コンピューター30%
 持ち物 軍用懐中電灯 モデルガン 十徳ナイフ バール
 肝試しにやってきた少年の1人です。小心者でずっと技術準備室に隠れていました。
 趣味はモデルガンいじりで、プログラミングにも少し興味があるようすです。

3.七不思議について
 七不思議について千恵子に聞くと、彼女が知っていることを全て教えてくれます。以下のような内容です。
 脱出不能の旧校舎
 学園の旧校舎として使われていましたが突然閉鎖された建物です。普段は鍵がかかっているのか入ることができません。しかし満月の時だけ中に入ることができます。ですが日が昇る前に脱出しないと二度と帰ってこれないという噂があります。
 体育倉庫の悲鳴
 高等部の運動場にある体育倉庫からうめき声やすすり泣く声が聞こえるという噂です。夜にはこの声が悲鳴に変わるといいます。またこの倉庫を開けたことがある者はいないとも言われています。
 サナエさんのうわさ
 昔学園に通っていたすこし変わった少女、サナエさん。彼女はその性格ゆえにみんなからいじめられていました。ある日サナエさんを特にいじめていた少女が彼女を屋上に呼び出し、そこから突き落としてしまいました。しかしサナエさんの遺体は発見されることはありませんでした。そして突き落とした少女は行方知れずになってしまい、サナエさんをいじめていた生徒も数日行方知れずになったのち死体で発見されました。その死体には赤い花が咲いていたといいます。
 プールの袖引き
 学校にあるプールを夜に歩いているとそこに引き込まれてしまうという噂です。噂となってから日が浅いようで、おかしなことにプールからゾンビが出てくるとか、サナエさんが突き落とされたのがこのプールだとか、行方知れずになった少女はこのなかに引き込まれたとかいった派生があります。
 地下からの笑い声
 体育館の地下の倉庫から笑い声のような声が聞こえるという噂です。夜に校舎を歩いているとその笑い声の主に会うことが出来、殺されるとも言われています。
 また、脱出不能の旧校舎から運良く逃げられた人々は地下通路を通ってこの地下倉庫に出てきたとも言われています。
 不老不死の理事長
 理事長は不老不死の怪物だという噂です。理事長は普段滅多に人前に姿を現さず、入学式と卒業式の挨拶に出てくる程度です。長く勤める先生曰く、確かに年齢にしては若い見た目だそうで、あまり外見が変化している様子もないらしいです。
 裏山の洞窟
 裏山にある洞窟に入るとそこに住んでいる化け物にとって喰われて死ぬという噂です。実際に裏山の一部の区画は閉鎖されています。

4.肝試し前の調査
 脱出不能の旧校舎について探索者は調べることを思いつくかもしれません。図書館あるいは資料室で<図書館>に成功すると以下のような旧校舎の見取り図が手に入ります。なお地下室の見取り図も一緒に掲載しますが、それは手に入りません。
旧校舎.png

地図1.png 地図2.png
 また先生に旧校舎について聞くと、15年前に突如閉鎖されて新校舎が建築されたということを教えてくれます。あまりに急な移転だったので生徒はしばらく仮設の校舎を使わざるを得なかったそうです。
 地下からの笑い声に興味を持ち、体育館の地下倉庫に向かおうとする探索者もいるでしょう。
 地下倉庫は薄暗く、蛍光灯が切れているので適切な道具がなければ<目星>にマイナス補正が付きます。
 地下倉庫で<目星>に成功した場合、古びたマットの下の床に金属の枠で覆われている部分があることに気が付きます。マットをどかせば取手のある扉だとわかります。マットをどかすにはSTR30との対抗になります。
 扉は畳一畳ほどあるもので、星のマークが描かれています。鍵がかかっているようで開くことはできません。鍵穴が見当たらないので<鍵あけ>を試みることも不可能です。また扉の材質は周りのアスファルトと違うようです。ただし<博物学>を試みてもこの物体の正体はわかりません。
 探索者は肝試しの計画を他の人に話すかもしれません。大人に話せば強く止められます。もし中等部の生徒が<幸運>に成功すれば、その生徒は同じクラスの数人が肝試しに旧校舎へ行こうか思案していることを盗み聞きできます。

5.旧校舎へ
 旧校舎の周りには街灯はなく真っ暗で、満月の明かりだけが頼りになるでしょう。
 旧校舎の周囲には3mほどのフェンスが隙間なく設置されており、それには有刺鉄線の返しまでついています。入り口にはでかでかと「立入禁止」の文字が見えます。不思議とフェンスの入り口には鍵がかかっていません。<目星>に成功すれば古い南京錠が何か固いもので打壊されて捨てられているのを発見します。また玄関までの道はぬかるんでいますが、<追跡>に成功すれば足跡が4人分あることもわかります。
 旧校舎は4階建ての中型の建物です。窓にはカーテンがかかっていませんが中をうかがうことが出来ないほど、不自然な暗さをたたえています。入り口は大きなガラスの扉ですが、ここからは中の様子が薄ら確認できます。なお窓を割り侵入する試みは一応可能です。
 探索者が入ろうとしなければ石崎が校舎へ入っていくでしょう。全員が旧校舎へ入ると大きな地震が突然起こります。STR*4のロールを全員行います。失敗すると揺れに耐えきれずに転倒し1D3のダメージを負います。また転倒した拍子に持ってきた明かりを壊してしまうかもしれません。
 揺れが収まり、探索者たちがあたりを見回すと入ってきた玄関の扉がピタリと閉まっています。再び開けようとしてもびくともせず、<鍵あけ>しようにも鍵穴が詰まったようになってしまい、道具を弾き飛ばされます。DEX*5あるいは<回避>に失敗すると弾かれた道具で怪我をして耐久力を1点失います。ガラスを割ろうとすると何か見えないものに遮られたように弾かれてしまいます。素手で攻撃した場合耐久力を1点失うほどです。
 得体のしれない旧校舎に閉じ込められたことを自覚し、探索者は1/1D3の正気度を喪失します。

6.玉虫色の液体
 旧校舎では時折玉虫色の液体を見かけることがあります。この液体には2種類あります。
・どちらかと言えば水っぽく、汚い水という印象を受ける液体。汚れとしてこびりついているのも大抵これです。重力に逆らうような力はなく、滴り落ちます。
・べたべたとした粘度のある液体。見た目の印象としては溶岩やヘドロのそれに近いでしょう。腐臭を放っています。床の穴から湧いて出たりと能動的な動きをしているようにも感じられます。
 後者の液体に触れてしまうと引き込まれ、その部分が力強く押しつぶされます。STR20との対抗に成功するまで1D6の耐久力ダメージを負います。
 この玉虫色の物体に対して、石崎はボールペンでつつくという行為に及びますが、瞬時にペンを引きずり込まれてしまい、この物体の危険性を証明することになります。
 この液体に対し<生物学>や<博物学>を試みてもこれが未知の物質だということを確認するだけでしょう。
 またもし探索者たちがガラスを割って侵入していた場合、割れたガラスの部分にいつの間にか玉虫色のべたべたしたなにかが張り付いて補っています。この得体のしれない物体を見てしまった探索者は正気度を1/1D3喪失します。

7.東棟1階
 玄関
 下駄箱が並んでいます。所々開いているところもあります。<目星>に成功すれば、10年以上放置されていたにも関わらず埃があまり積もっていないことがわかります。虫や鼠の死骸と言ったものもありません。<追跡>に成功した場合は足跡が4人分残っていることに気が付きます。
 職員室
 玄関から入って右側の部屋です。古びた事務机が大量に並んでいます。並び方にかなり乱雑なものを感じます。
 職員室には1人の少女がぼんやり突っ立っています。彼女は失踪したはずの生徒会役員、東城由香です。旧式の制服を着て、その上からカーディガンを羽織った彼女の目線は定まらず、虚空を見つめています。<心理学>を試みても彼女の内心を探ることはできず、<精神分析>に成功すれば彼女の精神が正常な状態にないことがわかるでしょう。
 生徒会室で写真を入手していれば彼女がその写真に写っていることがわかります。彼女になにか質問しても首を傾げるといった方法でしか答えません。彼女は唯一自分の名前だけを憶えており、探索者が東城本人か確認すると首を縦に振るでしょう。
 職員用トイレ
 普通のトイレです。ここに探索者が入ると部屋全体から不気味な笑い声が聞こえてきます。まるで部屋そのものが笑っているかのような錯覚に陥るほどです。このような奇妙な現象に見舞われた探索者は0/1の正気度を失います。また水道の蛇口を捻ったりトイレの水を流そうとすると、水の代わりに玉虫色のどろどろした液体が流れ落ちます。この現象を目撃した探索者は1/1D3の正気度を失います。また意図せずして触れてしまった場合は1D3/1D6の正気度を失い、「玉虫色の液体」の項の引き込まれた状態になります。
 生徒指導室
 中には何もありません。壁の一部が崩れて配管のようなものが露出していることが見て取れます。配管に対し<聞き耳>を行えば、中から何かの笑い声のような音と共に、液体が動くような轟音が聞こえるでしょう。
 生徒会室
 中には雑多に書類のようなものが積まれています。まるで不用品置き場のような状態です。地図を手に入れてない場合は<図書館>に成功することで入手できます。また「第28代中等部生徒会役員」と銘打たれた集合写真も見つかります。その写真には東城由香も写っています。
 校長室
 校長用の机や応接用のソファーがそのまま残っており、床にはカーペットが敷かれています。<目星>に成功すると床の一部に不自然なたわみがあることに気が付きます。ただし探索者の持ち物では厚手のカーペットを切り裂いたり、打ち付けられたものをはがすのは困難でしょう。

8.東城由香について
 彼女は16年前に突如失踪した中等部の生徒、東城由香本人に間違いはありません。しかし度重なる冒涜的な実験のせいで精神は崩れ、記憶もほとんど残っていません。覚えていることは自分の名前とこの学校の生徒だったことくらいです。それ以外のどのような質問に対しても彼女は首を傾げるだけで答えません。
 ただ「もう1人ぼっちになりたくない」という動機だけは強く、探索者においていかれそうになると後をついていきます。探索者たちが2手以上に別れようとすると一番人数が多い方についていきます。
 彼女は旧式の制服にカーディガンという出で立ちで、両腕はすっぽり隠れています。その腕を触ろうとか、袖をまくってみようとするか彼女はその手を振り払って嫌がります。その腕には灰色の粘着質の塊がついています。これは校舎にいるショゴスと繋がるための物質ですが、彼女の精神が正常ではないためと物質自体が不完全であるために繋がりは稀薄です。彼女はショゴスには命令を下しません。ショゴスは理事長に「東城由香を旧校舎から出さないこと」を最優先課題として命令されているので、彼女へは攻撃しませんが彼女が旧校舎から脱出しようとすると引き留めます。
 彼女は生徒手帳を持っており、その中には生徒会のメンバーで撮影した写真が挟まっています。KPはタイミングを見て東城にこれを落とさせて、探索者に気づかせてください。その写真には東城を含めた男女数人が楽しそうに写っています。その写真を東城に見せても東城の様子に変わったところはありませんが、ただ一筋だけ涙を流したようにみえます。

8.東棟2階
 廊下
 部屋を3つほど調べた段階で探索者全員は<幸運>ロールを行います。失敗した者のうち一人の首筋に天井から液体が垂れてきて汚します。その液体はべたべたしており、不快なにおいを発していて薄い玉虫色をしています。不意に不快な感触を覚えた探索者は1/1D3の正気度を失います。
 また女子トイレの前を横切るときに<聞き耳>をします。成功すれば中から女の子のすすり泣く声が聞こえてきます。
 なおこれより上に上がる階段もありますが、くずれてしまっていて通行できません。
 3-1
 全体的に薄汚れた印象です。古びた机とイスが少し乱雑な感じで並んでいます。<目星>に成功すれば部屋の所々に玉虫色の汚れがあることに気が付けます。
 3-2
 中で嵐があったのかと思うほど机とイスが乱れています。また床にはべったりと玉虫色の液体が残っています。これに触れると引き込まれます。
 3-3
 部屋の状態は3-1と同様です。<目星>をするまでもなく、教室の中に何か小さな光る物体が落ちていることがわかります。<機械修理>または<電気修理>あるいは<電子工学>に成功すればそれが電池やバッテリーと似た機構を持ったものだと理解できるでしょう。中には黄緑色の水晶のようなものが入っており、それが発光しています。この水晶に対して<博物学>や<博物学>に成功すればこれが探索者の知識の外の物質だと推定できます。
 3-4
 床の一部に大きな穴が開いています。そのそばに靴が左側だけ残っており、それは玉虫色の液体で汚れています。
 3-5
 特になにもありません。
 3-6
 3-2のような乱雑さです。<目星>に成功すればその中から1枚の紙切れを発見できます。新聞のようなもので、見出しは「呪われた砂州良学園!?行方不明者続出の怪」とあり、本文は学園創立以来行方不明になる生徒があまりにも多いことを伝えていますが、大きく掲載不可と書かれています。写真も多く載っており、その中の1枚は生徒会室で見つけた写真に写っていた人物です。写真のキャプションは「第28代中等部生徒会副会長 東城由香」となっています。失踪当時の状況も書かれており「文化祭の準備のために校舎に残っていたはずだが、姿が見えなくなる」となっています。
 この新聞を石崎に見せれば、中等部にも新聞部は存在していて、自分もそこで活動していたと教えてくれます。
 男子トイレ
 この校舎のトイレは東側が男子、西側が女子に割り当てられています。男子トイレには特になにもありません。
 女子トイレ
 女子トイレに入ると、すすり泣きは全員の耳にはっきりと聞こえてくるでしょう。入ってしばらくするとすすり泣きはピタリとやみます。トイレの個室は1つだけ閉まっています。探索者が声をかけると、中から恐る恐る少女が出てきます。彼女は小宮山香帆と名乗ります。
 彼女は左足を怪我しており、全体的に青く腫上ってしまっています。理由を聞くと「床から突然玉虫色の液体がわいてきて引きずり込まれそうになった」と言います。3-4で見つかった靴は彼女のものだったのです。
 彼女はまた、ここには4人で肝試しに来たと話してくれます。探索者が旧校舎のフェンスの鍵が破壊されていることに気が付いていれば、それをやったのは自分たちだとも言います。一緒に来た他の3人は、3-4で自分が引き込まれそうになったときに散り散りに逃げてしまったそうです。あわや引き込まれそうになったところで液体は急に動きを止め、彼女を離し直後大きな揺れが起きたと言います。
 彼女は足を怪我しているので、DEXは3として扱います。ただし<応急手当>または<医学>に成功すればDEXは耐久力の回復量と同量回復します。また彼女は精神的なショックを受けていることが見て取れます。<精神分析>に成功すれば正気度を回復できるほかDEXが1点上昇します。

9.西棟2階
 東棟2階の渡り廊下から東棟に移動が可能です。廊下の様子は西棟のそれと変わりありません。東棟から移ったところで奥から女子生徒の悲鳴が聞こえてきます。
 コンピューター室
 机や古い配線が散乱しています。この部屋にはパソコンはありません。<目星>に成功すれば3-1で見つけたものと同じような物体を発見します。
 コンピューター準備室
準備室には古い印刷機があり、プリントが一枚だけ残っています。そのプリントには「新校舎建設のお願い」と題名があり、今の校舎は耐震性に大きな問題があるので、前々からの計画を前倒しにして新しい校舎を建設、できるまで仮設の校舎に移ってもらう旨が書いてあります。
 美術室
 古びた大きな棚があるだけです。壁に穴が開いており、そこから玉虫色の液体が噴き出しています。液体からは恐らく女子生徒のものであろう足が突き出しています。その足は少しの間じたばたもがきますがその後糸が切れたように力が抜けだらりとします。そして玉虫色の液体に飲まれていきます。この光景を目撃した探索者は1/1D6の正気度を喪失します。ただし小宮山香帆は1D3/1D8の喪失です。引きずりこまれたのは小宮山と一緒に肝試しに来た生徒のようで、彼女は「京子ちゃん!」と名前を言いながら半狂乱になって駆け寄ります。しかし彼女にはどうすることもできず力なくへたり込んでしまいます。
 美術準備室
 美術準備室で<目星>に成功すれば、机の引き出しから一枚のスケッチのようなものを見つけられます。スケッチには湖が描かれており、そこから針山のようなものが突き出ていることがわかります。<クトゥルフ神話>に成功すればそれがグラーキを描いたものだと直感できるでしょう。また<オカルト>、<歴史>や<人類学>に成功すればそれが想像上の怪物の姿であり、そのような怪物の登場する伝承は探索者の知る限り存在しないことがわかります。
 男子トイレ
 男子トイレには玉虫色の液体で汚れた布の表紙の本が見つかります。中はラテン語で書かれているので読むことが出来ず、探索者には英語ではないことくらいしかわからないでしょう。ただ本を開くと中から一枚のメモが落ちてきます。それは日本語で書かれており「魔力変換器」と題があります。内容は以下の通りです。
 「スイッチを入れることで、電気を魔力に変換することが出来る。逆の変換も可能であり、専用のバッテリーをセットすることでバッテリーへ魔力を供給することもできる。」
 またそのメモには追記で以下のような内容があります。
 「ボックスの窪みにバッテリーをセットし、レバーを引くことで電気を供給し地下通路の電灯が利用できる。ただしバッテリーが小さいので1つで一部の通路にしか電気を送れない」

10.西棟1階
 技術室
 大きな机の他に古くて使い物にならないと判断されたであろう工具類が放置されています。中にはバールもあり、これを使えば校長室のカーペットを引きはがすことが出来るでしょう。
 技術準備室
 準備室には鍵はかかっていませんが、何かが引っかかったような状態になっていて開きません。技術室から出て少し待っているとその中から誰かが出てきます。その人物は小宮山と共に肝試しに来ていた生徒、長坂瑛太です。彼はずっと技術準備室に閉じこもっていたのでした。彼はずっとここにいたので当然有益な情報は持っていません。ただ「壁から何かが動くような音と笑い声が聞こえる」と言います。彼の言うことを信じて壁に耳を当てて<聞き耳>を試みれば、確かにそのような音が聞こえてきます。
 音楽室
 朽ちてボロボロになったピアノの中にバッテリーが落ちています。発見には目星が必要です。
 音楽準備室
 音楽準備室の床には穴が開いています。その穴は元々扉がはまっていたかのように真四角で、梯子もかかっています。その中には配線がむき出しになった機械があります。そこには何かをはめられる窪みとレバーがあり、<アイデア>に成功すればその窪みに今までに見つけたバッテリーをはめ込みレバーを引くことで仕掛けが作動することがわかるでしょう。
 窪みとレバーは4つあり、それぞれ1から4の数字が割り振られています。また<電気修理>あるいは<電子工学>に成功すればその機械の一部に見たこともないパーツが使われていることがわかるでしょう。

11.西棟3階
 廊下には一面べったりと薄く玉虫色の汚れがついています。4階へ上がる階段はありますがくずれて通行できません。
 理科室
 割れて使い物にならなくなったビーカーや試験管の類が放置されています。部屋は所々玉虫色の液体で汚れています。ノートの一部と思われるものが落ちています。そこには以下のような記述があります。
「今日は理事長に頼まれて校長室のカーペットの張替えをした。どうでもいいことだが、なぜ校舎を移転することが決まった後で張替えなんかしたのだろうか?」
 理科準備室
 ここには特になにもありません。
 暗室
 中は他の部屋よりさらに真っ暗です。中には小さな光を放つものが落ちています。これは3-1にあるものと同じバッテリーです。
 また<目星>に成功すれば部屋の隅に現像された写真を見つけることが出来ます。この写真には文化祭の準備の様子が写っています。東城も写っており、フリーマーケットの用意をしているようなことがわかります。彼女が着ているカーディガンも写っています。写真は古く、また汚れてしまっているので<写真術>や他の適切なロールに成功しないと東城が写っていること以外わかりません。
 家庭科室
 理科室同様全体的に汚れています。液体がうごめいているところもあります。探索者が準備室から出てくると液体の動きが活発になり触手のようなものを伸ばして探索者に襲い掛かります。<回避>か<跳躍>に失敗すれば引きずり込まれることになります。このような液体の挙動をみた探索者は0/1D4の正気度を失います。
 家庭科準備室
 この部屋にはメモ用紙のようなものが落ちています。そこには以下のようなことが書かれています。
 「生徒の1人に地下室から出てくるところを見られる。細胞を手に抱えていた状態だったので言い逃れもできず、丁度実験材料の調達が必要だったので彼女をそれにすることにした。授業が終わった後でも研究室への出入りは十分気をつけるように」

12.再び東棟へ
 西棟の探索が一通り終わったら東棟の方向から何かが暴れるような大きな物音が聞こえてきます。校長室のカーペットを引きはがす手段も得ていれば自然と探索者の足は東棟へ向くでしょう。
 探索者が東棟へ戻ろうとすると、西棟の1階と3階から轟音が響き渡り、西側の階段から玉虫色の液体が迫ってきます。その液体は触手の様にうごめいて探索者たちを絡め取ろうとしています。この様子を目撃した探索者は0/1D4の正気度を消失します。探索者が東棟へ逃げ終わると、液体はそれ以上追ってきません。しかし渡り廊下全体に留まるため、引き返すのは不可能でしょう。
 東棟は床一面が西棟3階のように汚れています。また壁一面にも同じような液体がべったり張り付いており、こちらはうごめいています。当然触れば引き込まれます。
 校長室
 校長室のカーペットを破るとその下には木製の隠し扉がついています。この扉は床と同化するようにできていて、たわんでいなければ床と扉の見分けがつかないほどです。とってはありませんが扉自体がたわんでいるので手をかけて開くことは容易いでしょう。

13.地下室
 地下室は東棟同様に汚れています。また東棟よりさらにつよい悪臭を放っています。
 手前の部屋
 部屋は3つあります。手前の部屋には書き物机や本棚があります。本棚の本は大部分が失われています。しかしアルバムのようなものが数冊残っています。そこには真黒なヘドロの塊のような写真や、今まで見てきたような玉虫色の液体の写真が多く残っています。<クトゥルフ神話>に成功すればこれがウボ=サスラの細胞からショゴスを生成する過程の一部だと理解できます。そのように理解してしまった探索者は<クトゥルフ神話>に+3%、1D4/1D8の正気度を喪失します。
 また書き物机には数枚の紙が残っています。これには大きくバツが書いてあり、また汚れているので読解に<日本語>が必要です。読解に成功すれば、以下のような記述を得られます。
 「とうとうあれが暴走してしまった。兆候はあったものの、『印』があれば大丈夫だろうと油断していた。元々もう役に立たないだろうと考えてはいたし、廃棄するつもりではあったが、中等部校舎ごとになるとは思っていなかった。他の教員や保護者に疑われただろう。ほとぼりが冷めるまで研究は控えるしかあるまい」
 書き物机にはその他に、手の平大の黄緑色の水晶がおいてあります。この水晶はバッテリーの中に仕込まれていたものと同じだとわかります。
 奥の部屋
 奥の部屋には大きな水槽が一つ鎮座しています。その手前には檻のようなものがいくつかと何かの実験をしていたであろう机がみられます。机の上には真黒な液体(ウボ=サスラの細胞)で満たされた瓶がいくつかと古びた鍵があります。
 檻のうちいくつかにはしなびた人間の死体が入っています。また空の檻には手錠がついていますが、錆びて壊れています。
 誰かが水槽に近づくと、水槽の中に満たされた玉虫色の液体は突然チカチカと発光します。そして目を開くように眼球が表面に無数に出現し、それら一つ一つは探索者を見下ろすと、耳障りな声で「てけり・り」と鳴きます。すると部屋全体が大きな揺れに見舞われ、水槽にひびが入ります。このような冒涜的な存在を確認してしまった探索者は1D4/1D10の正気度を喪失します。
 地下通路への階段
 ひびの入った水槽は1D10+2Rで完全に砕け散ります。そして部屋からあふれ出して探索者に迫ってきます。通路の一番奥には錆びた鉄の扉があります。これを開くには鍵が必要です。
 扉を開けた先には地下へ続く梯子があります。NPCを含めパーティーのメンバーは全員そこへ入っていくでしょうが、東城だけはぼうっと梯子の方を向くだけで動こうとしません。探索者は彼女に声をかけるかもしれません。あるいは手を伸ばしたり、とったりするかもしれません。そうすると彼女は蚊の鳴くような声で「置いてかないで……」とつぶやきます。そして手を伸ばします。その手にはべったりと灰色の粘着質の塊が張り付いています。
 探索者がそれに怯むと彼女の背後からショゴスがあの独特の笑い声を響かせながら到達します。そして彼女を飲み込むと体に生れた無数の口は一斉に開き「置いてかないで!」と叫びます。その轟音は地下室全体を揺るがすほどのものです。

14.東城からの逃走
 ショゴスと一体化した東城はその上半身をショゴスの体から突き出して探索者を追いかけます。追いかけている間中、ショゴスの体にある口は「置いてかないで」「一人にしないで」と叫び続けます。
 ショゴスは通路を埋めてしまっているため彼女のうしろへ逃れることは不可能です。彼女はショゴスから上半身を突き出して、手で探索者を捕まえようともがきます。探索者を捉えると抱き着くように押さえつけ、ショゴスと共に押しつぶしを行います。これによる耐久力ダメージは3D6で、捕まっている者がSTR20との対抗に勝つまで続きます。なおこの対抗には他の探索者も参加できます。
 ショゴスから逃げ切るためには所定の回数抵抗ロールを行います。ショゴスのDEXは7ですが、バッテリーを利用して通路の電源を入れていた場合はその部分でのDEXは4になります。
 ショゴスとのDEX対抗ロールに2回失敗すると追いつかれます。その状態でさらに失敗するとショゴスからの攻撃を受けます。
 探索者やNPCの1人が捕まり、ショゴスによる押しつぶしを受けている間東城は行動できないのでDEX対抗は自動成功となります。誰かがショゴスに捕まった段階で<アイデア>に成功するとこのことに気が付くでしょう。押しつぶしにより対象が死亡または気絶した場合ショゴスは対象を飲み込み、再び追走を始めます。

15.地下通路
 地下通路のスタートはB列の奥からです。地下通路は下水道を模したような見た目をしており、探索者の足元にある金網の下には実際に下水が通っています。中は酷い悪臭が充満しています。
 B列の手前にはC列とA列に続く分かれ道があります。どちらとも同じような見た目をしており、パッと見ではどこへ続いているか判断できないでしょう。その分かれ道まで到達するまでにショゴスとの対抗ロールを2回成功させる必要があります。
 A列へ続く道はさらに2手に別れています。左は完全に行き止まりです。右も一見すると行き止まりですが、<目星>に成功すれば人一人がやっと入れる配管があることに気が付きます。A列の端まで移動するのに2回の対抗ロールに成功する必要があります。
 配管を移動するには、まず移動の順番を決めます。そして探索者のSTRでショゴスのDEXと対抗します。ショゴスのDEXは4となります。ただし失敗した者の後ろにいる者は全員失敗扱いとなり。ショゴスの攻撃は後ろにいる者から標的となります。
 C列は左に行くとD列に続く道に到達します。またその向かいには厳重に鍵のかかった鉄製の扉が見えます。右へ行くと下水が流れ落ちている空間があり、行き止まりになっています。<目星>に成功すれば、その空間に梯子がかかっていてD列に続く道があることがわかります。どちらへ向かうにも対抗ロールに1回成功する必要があります。梯子を登るにはさらに1回の対抗ロールが必要です。
 D列からは完全に一本道です。ただし途中に太い配管が横切っており、それを超えるには<跳躍>か<登攀>に成功する必要があります。また既に登り切った人はまだ登っていない人に手を貸すことも可能です。その場合は引き上げられる人のSIZと引き上げる人のSTRの対抗になります。複数人で引き上げることも可能です。パイプまで到達するのに2回、出口に到達するのに2回のロールが必要です。
 D列の一番端に到達すると、天井の部分に畳にして一畳ほどの大きさの扉があることに気が付きます。これを押し上げるにはSTR40と対抗して成功する必要があります。この対抗には何人でも参加できます。ただし旧校舎に赴く前に体育館の地下倉庫に行き、扉の上にあるマットを動かしてそのままにしていた場合はSTR20との対抗です。
 扉を開けた先は体育館の地下倉庫です。扉を閉めてしばらくすると探索者を追ってきていた笑い声や地鳴りがやみ、化け物が追跡を諦めたことがわかるでしょう。

16.報酬
 旧校舎から生還した場合1D8の正気度を回復します。また一緒に生還したNPC1人につきさらに1D6の正気度を回復します。
 生還した探索者は<クトゥルフ神話>に+5%、<オカルト>と<博物学>と<応急手当>に経験ロールを行えます。
石崎千恵子と生還した場合、彼女との交流で<写真術>と<機械修理>に経験ロールを行えます。
 小宮山香帆と生還した場合、彼女との交流で<生物学>と任意の芸術技能の経験ロールを行えます。
 長坂瑛太と生還した場合、彼との交流で回避を含む任意の戦闘技能と<電気修理>に経験ロールを行えます。
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2015年02月22日

空条博士の発見

0.KPをする方へ
 このシナリオは第4回うっかり卓ゲ祭に『空条博士の発見』として投稿された動画の元になったものです。セッション開始前に視聴の有無を確認するのが無難でしょう。
 シリーズとしては赤崎犯科帳に属しますが、テーマとは外れた作品になっています。
 またシナリオにはオリジナルの呪文、生物が登場します。

1.始めに
 このシナリオはクトゥルフ神話TRPG基本ルルブおよびクトゥルフ2010に対応したものです。
 探索者は2〜4名を想定しています。舞台設定は現代日本、初夏です。
 推奨技能は<生物学>です。
 探索者同士が知り合いであれば導入がスムーズです。また探索者に最低1人が探偵のような金を積まれればある程度のことを請け負ってくれる職業についているか、そういうことをしそうな人物である必要があります。
 シナリオの最後に、避けがたい戦闘があります。

2.登場人物
 空条遼太郎 男 44歳 苦難の生物学者
 STR15 CON16 SIZ17 DEX14 APP15 INT15 POW12 EDU18
 HP17 MP12 アイデア75 知識90 幸運60 SAN0 db1D6
 生物学85% 英語75% 水泳60% こぶし70% クトゥルフ神話30%
 呪文 生物の合成(オリジナル)
 地元の大学で教鞭をとる生物学者。専門は海の生物で、特にヒトデ。
 5年前、生物学会をひっくり返すような珍しいヒトデを発見したことで一躍注目を集め、丁度席が空いていたことも手伝って教授職への異例の速さでの出世を遂げます。
 しかしその後は目ぼしい業績もなく、発見したヒトデの研究も否定されたために立場が悪くなり、降格すら噂されるようになりました。
 既婚者だが5年前に妻を亡くしています。高校生の娘がいるが仲は良くないようです。

空条アイリン 女 16歳 博士の1人娘
 STR13 CON12 SIZ14 DEX12 APP15 INT12 POW10 EDU14
 HP13 MP10 アイデア60 知識70 幸運50 SAN50 db1D4
 遼太郎の娘。アメリカ人の母とのハーフ。
 研究にかまけてばかりの父親のことをよく思っていません。また父が変なものとたちと交流を持っていることを気にしています。
 成績と出席率が低めの所謂ヤンキーですが、友達思いで根はやさしい少女です。

 人面ヒトデ
 STR5 CON4 SIZ6 DEX1 INT2 POW1 HP5 MP1
 SAN喪失 0/1D3 ただし合成元の人間が知り合いであれば1/1D6
 人の顔を持つ不気味で巨大なヒトデです。正体はアイリンとヒトデが合成されたものです。
 知性はほとんどなく、口を動かしてなにか言葉を発するのがせいぜいのようです。
 大きさは手の平よりも少々大きい程度でヒトデを土台に福笑いをしましたと言わんばかりの見た目をしています。

 遼太郎の妻
 5年前謎の失踪を遂げた遼太郎の妻です。アメリカ人で夫との仲は良好だったようです。

 芹沢教授
 年は上ですが遼太郎の同僚に当たる人です。導入で何者かに殺害されます。
 実は狂信者と遼太郎との間で、芹沢教授を殺害する代わりに「生物の合成」の呪文を教えるという取引がなされていました

3.生物の合成
 この呪文は異なる種類の動物を合成する呪文です。この呪文によって合成された生物は元々の動物の特徴を併せ持つキメラのようなものになります。
 呪文の方法はいたって簡単で、金属製の箱に合成したい動物2匹を投入し、その箱に海水を充てんします。月が出ている時間に呪文を1時間ほど唱え続ければ箱の中で融合が起こりキメラが完成します。
 誕生したキメラの能力値は元々の動物の丁度平均になります。もし対応する能力値が片方に設定されていなければKPが任意に決定してください。
 呪文を唱えている最中に箱を破壊した場合、呪文を唱え始めてからたった時間が箱の中の動物がおぼれ死なない程度の時間ならまだ生きて出てくる可能性があります。ただしその際溺れのダメージの他に1D3ダメージを受けます。
 呪文を唱え始めて30分ほど経った時なら中からは元の生き物の原型をとどめないムースのようなものが出てくるでしょう。45分以上経っているなら不完全ながらもキメラとして登場する可能性があります。

4.導入
KPは以下の導入を組み合わせて探索者を警察署のイベントに導いてください。なお、必ず1つの導入に1人以上の探索者を関わらせてください。
導入1 血塗れの包丁
 夕方、探索者が道を歩いていると鞄が放置されていることに気づきます。その鞄は女物の高級そうな一品で、見るからにそこに放置するのははばかられるような品です。
鞄が落ちているところから少し行ったところに交番があります。探索者に届けるように誘導してください。
 その鞄を開けると、中には何の変哲もない荷物に混ざって血塗れの包丁が入っていました。突然血塗れの包丁を目にした探索者は0/1の正気度喪失に見舞われます。
 もし<生物学>などに成功すれば、この包丁に付着している血液が本物であることがわかるでしょう。
 落し物の中に事件性のあるものが入っていたため、事情聴取のために探索者は警察署に半ば無理矢理連れていかれることになります。

導入2 芹沢教授の死
 このシナリオには記者や同じ大学に勤める、あるいは通う人間が関わるのがいいでしょう。
 探索者はその日のお昼、大学の生物学教授である芹沢一也と話しをします。内容は何の変哲もない世間話だったり、仕事上の打ち合わせだったりします。その会話の最後に、芹沢教授はある話題を探索者に振ってきます。
 それは「人面ヒトデのことを覚えているか?」というものでした。
 探索者が<生物学>あるいは<知識>の1/2に成功すれば、5年前週刊誌を騒がせた新種のヒトデ、所謂「人面ヒトデ」について思い出せます。それは同じ大学に勤める空条遼太郎教授が存在を確認したとして一時期話題になりました。なんでもそのヒトデに本来ありえないはずの内臓器官が見つかり、もし本物なら生物学の常識が覆るとも言われていました。しかしその後音沙汰はありません。
 芹沢教授はその人面ヒトデの論文が捏造だという根拠を掴んだと言います。しかしそれがあまりにも信じられないものなので今まで発表するか悩んでいたそうです。
 しかし空条教授を何度説得しても捏造を自ら認めないために、遂に公表に踏み切ると言います。明日にはニュースになっているだろうと芹沢教授は疲れた顔で笑いながら探索者を送り出します。
 その日の夕方、探索者の携帯に見知らぬ番号で電話がかかってきます。出てみると、警察署の者だと名乗り探索者にこう告げます。
「芹沢一也さんが殺されました。お話を伺いたいので署まで来ていただけますか?」
 探索者はこうして警察署に向かうことになります。

導入3 襲われた女子高生
 夕方に探索者が帰宅の途についていると、目の前から誰かが駆けてきます。それは高校生くらいの年齢の少女で、かなり焦っているように見えます。
 その少女は息も絶え絶えにこういいます。
 「助けてください……変な人が……車に押し込まれそうになって……」
 その話を聞いていると、彼女が逃げてきた方向から白づくめの、いかにも怪しい者たちが3人走ってきます。そのあとを1台のワンボックスカーがついてきます。この車は窓にスモークがかけられていて、賢明な探索者ならこの車に彼女を押し込んで連れ去る気であったと理解できるでしょう。
 探索者と行き合ってしまった不審者たちは、形勢不利を悟ったのか車に乗って逃げ去ります。ただし、探索者側の戦力と人数によっては戦わせるのも面白いでしょう。不審者が負けた場合は彼らを必ず逃がしてください。さすがにこの段階で正体がばれるとまずいからです。
 もし不審者側が勝ったら、誰か別の通行人を登場させてやはり不審者をその場から逃がしてください。このタイミングで探索者がリタイアするのも流石にまずいからです。
 不審者が去った後、少女は探索者に向かって「警察署に連れてって!行かなきゃいけない用事があるの」と頼みます。

5.空条アイリンの依頼
 導入を終えると探索者は全員同じ警察署に集合します。できれば不審者との対決組が最後に警察署に到着したことになるように調整してください。
 探索者は広めの会議室のようなところに通されます。そこで今回の事件のあらましを聞くことになります。
 この日、導入2で芹沢教授に接触した探索者が彼の元を去った後、教授は何者かに殺されてしまいました。正式な鑑定はまだですが、導入1で発見された包丁が凶器だとみて間違いないとのことです。
 刑事は探索者達に今日のアリバイや芹沢教授の友人関係を簡単に聞いて一旦部屋を出ていきます。
 それと入れ替わりに先程襲われた少女が刑事と言い争いをしながら入ってきます。問いただしてみると、刑事が「実はこの子、もう何度もうちにきて父親が怪しいから調べろって言うんですよ。まだなんの事件も起きてないのに……」と教えてくれます。
 やってきた刑事は少女を振り払いながら「鞄の中から出てきた手帳に、『幸福の巫女』という団体の住所があったんですが、どんな団体か心当たりありませんか?」と聞いてきます。この時点では探索者にも心当たりは全くありません。
 質問が終わると、刑事はもう帰っていいと探索者に告げて去っていきます。
しかし探索者が帰ろうとしても、先程の少女に食い止められます。彼女は自分の名前を空条アイリンと名乗って、聞いてもいないうちから事情を話し始めます。
彼女曰く、最近父親の様子がおかしく、怪しげな人々と何度もあっているとのことです。そしてその人々は自分を襲った人々でもあり、今疑惑が確信に変わったと言います。
また5年前に母親が失踪していますが、その時も同じようなことを父親はしていたと言います。
 彼女は探索者たちに半ば強引に依頼をしてきます。それは「父親が接触している変な組織の正体を掴んでほしい」というものです。

6.幸福の巫女
 先程刑事から聞いた幸福の巫女についてはインターネットで調べることが可能です。
 <図書館>に成功すれば、とあるHPがヒットし、これが地元の新興宗教団体だとわかります。
 この教団は最近地元に現れた団体で、さほど規模は大きくないものの熱心な信者をいくらか獲得し安定した経営をしています。教祖は「古池千里」と名乗る女性で、元々この地方を支配していた巫女の生まれ変わりだと書いてあります。教義はこの土地をあるべき姿にもどし、住民を幸福へ導くことです。教祖の写真はこのHPにはありません。
 教団の本部は警察署からそれほど離れていないところにあります。HPにも「見学大歓迎」とでかでかと書いてあります。また教祖に会いたければ事前に電話をすればたいていの場合は会えるようです。
 また<オカルト>に成功すれば、この教団の存在を即座に思い出すことができ、さらに教団の設立が5年前であることも思い出せます。

7.教団本部
 幸福の巫女の本部は簡素な3階建ての商業ビルです。1階は受付と事務室や応接室、3階は毎週金曜日の集会に使われる講堂、2階には書庫や儀式に使う道具を入れておく倉庫やなどがあります。
 探索者が事前に電話をしていれば教祖が側近の男と迎えてくれます。そうでなければ<幸運>が必要でしょう。失敗すれば教祖はいないので出直す必要があるかもしれません。
 教祖である古池は極めてフレンドリーに探索者を迎えてくれます。
 古池に率直に包丁と一緒に入っていた布や不審者が落としたバンダナについて尋ねると最初はきょとんとした顔をします。そして一緒にいた側近の男に耳打ちされると「私たちのほうでは把握していませんが、そのような行動をとった信者がいれば問題ですね。こちらでも調査を進めておきます」と言います。<心理学>などを用いても、その言葉には悪意やごまかしは一切みつかりません。
 しかし探索者が教団から立ち去ろうとした時、先程の側近が追いかけてきます。そして「私たちが把握していない不審な動きは確かにあるようなんです。最近、教祖の方針に不満をもつ者が少なからずいるようなので」と耳打ちしてくれます。

8.空条教授について
 アイリンの話を聞いた探索者は父親である空条教授について調べるかもしれません。
 空条教授の情報はネットで簡単に調べることが出来ます。恐らく<図書館>に成功すれば、「人面ヒトデの論文」を発見できます。
 <生物学>に成功すれば、もし本当にこのような生物がいれば生物学の常識をひっくり返すようなものだと理解できます。一方で論文の真偽には確かに疑わしい部分もあることもわかります。なおこの論文に人面ヒトデの写真はありません。
 また空条が教授になったのは5年前で、この発見の功績のためだということもわかります。

9.空条教授の研究室
 空条教授はたいていの時間帯研究室にいます。探索者が訪ねてあえないことはまずないでしょう。
 空条研究室はいかにも生物学者の研究室といった感じで、書籍や論文が収納された本棚の他に大きな水槽がいくつもあり、その中には色とりどりのヒトデが息づいています。
 空条教授は研究者らしくなく大柄で筋肉質な体型をしていますが、その眼はどこか虚ろで隈もできています。机の上は散らかり放題になってもいます。<精神分析>に成功すれば、何か余裕がないような印象も受けます。
 空条教授は探索者に娘を助けてくれた礼を述べると、質問に答えてくれます。
 5年前の妻の失踪については、最初他人に言うことではないと憚ります。<説得>に成功すれば、教授は詳しいことが全く分からなくて困っていると言います。周囲の目から見ても妻の失踪は突然で、かつなんの前触れもありませんでした。皮肉にも失踪日は妻の誕生日でした。警察も行方を追っていますが、手掛かりはつかめていないと言います。
 謎の集団について空条教授は全く知らないと言います。白尽くめについて尋ねても、実験で白衣を着ることも多いから、娘はそれを見間違えたのだろうと言います。
 娘との関係については、自分がヒトデに夢中になってばかりいるから嫌われていると自嘲気味に語ります。
 5年前発表した人面ヒトデの論文については、あまり気持ちのいいものではないと前置きしてその写真を特別に見せてくれます。ファイリングされた写真には赤と黒の毒々しいヒトデに人間の口と眼球が張り付いたような奇妙な生物が色々な角度で写っています。中には明らかに解剖した写真もあり、ヒトデの中に人のものと思われる消化器官の一部や脳が確認できます。このような奇妙な写真を見てしまった探索者は0/1D3のSANチェックを行います。
 <写真術>に成功すれば、この写真には細工がないことがわかるでしょう。また<生物学>に成功すればこの生物も作り物ではないように感じれます。

10.入れ違いの来客
 探索者が空条教授の研究室から出ると入れ違いに数人の来客があります。パッと見はいたって普通の人たちですが、<目星>と<アイデア>の組み合わせに成功すると、HPや本部で見た幸福の巫女のシンボルマークがあしらわれたアクセサリーをしていることに気が付きます。また導入で不審者と戦い手傷を負わせた場合、来客の中にその傷を負っている者がいることにしてもいいでしょう。その場合<医学>か<目星>の1/2に成功すると判明します。
 彼らが教団の関係者だと感づくと探索者たちは会話を盗み聞いたり後を付けたりすることを思いつくでしょう。会話を盗み聞くには<聞き耳>に成功する必要があります。成功すれば「……感づかれている?」「それはない」「念を入れるべきだ……する」「わかった」といった会話が断片的に聞こえます。
 後を付ける場合はまず研究室から出てくるところを待ち伏せしなければいけません。廊下には隠れるところも少なく他の研究室も閉まっているので<隠れる>に成功する必要があります。もっとも、トイレなど妥当な場所をPLが思いつけた場合はこのロールは不要としていいでしょう。
 探索者たちが無事待ち伏せに成功すれば、彼らのあとを追うことが出来ます。ただし<忍び歩き>に成功する必要があり、失敗すると向こうにばれてしまいます。
 彼らは大学構内をでて駐車場に止めてある車に乗り込みます。この車はアイリンを襲うのに使用したものとおなじものです。襲撃に遭った探索者なら<アイデア>で、直接車は見ていないが外見は他の探索者から聞いている探索者なら<知識>でそれと特定できます。ただしナンバーは全く違います。
 車に乗った客人はそのまま車を走らせます。これを追跡するには<運転>に成功する必要があります。気づかれずに追跡することに成功すれば車は郊外にある自動車整備場の建物の中に入ります。

11.空条研究室の書類
 空条教授の研究室になにか手がかりがあるのではないかと考えた探索者がいれば、教授が留守の間にそこを調べようと提案するかもしれません。しかし研究室は教授の留守中は鍵がかかっているのでこの問題を解決する必要があります。
 研究室の合い鍵はアイリンが持っています。彼女は父親を怪しいと踏んで調査する際に、こっそり合い鍵を作っていたのです。なので彼女に依頼すれば開けてもらえます。
また研究室の鍵はさほど厳重なものではないので<鍵あけ>に成功すれば容易に開くことが出来ます。
 研究室には金庫があります。この中に重要な手がかりが入っていますが、パスワードが必要です。パスワードは8ケタの数字ですが、その数字はアイリンも知りません。パスワードはずばり「奥さんの生年月日」です。探索者がどうしても思いつかないならアイリンを介してヒントを与えてください。
 金庫の中にはいくつかのノート、USBメモリ、小さなケースがあります。
 ノートは何かの実験をしたような記録がつけられていて、日記と実験ノートの合いの子のようなものです。このノートは少し古びています。<図書館>に成功すると5年前の日付でこう書いてあるページを見つけます。
 「3月12日
 生物を混ぜる呪文は一応完成した。今回は蛸と犬を混ぜたが取り敢えずキメラの状態で生きてはいる。しかしまだ混ざり方が不安定であり、成功率が高くない。改善が必要なのは言うまでもない。
 今回作成したキメラが大暴れしたため研究室が滅茶苦茶になってしまった。この呪文で作った生物の結合を解いて殺す粉はつくっておいたが、いざ手で撒こうとするとうまくいかない。教団の1人が粉末消火器に入れておく案を思いついたのでそれを採用することにした。その細工をした消火器は、消火器を新しいものに変えるタイミングでこの階の廊下にあるものと入れ替えておこう。使用期限は確か6年くらいだったな。」
 「6月22日
 ようやく成功した。何度も失敗を重ねたがこれで見返してやれる。私にはこっちの才能はあったのかもしれない。
 今回は鯉と猫を混ぜたものを5匹つくった。混ぜた動物の特徴は丁度半々になった。しかしどこにどの動物の特徴が出るかまでは制御できないようだ。3匹はえら呼吸が出来たが2匹は肺でないとだめだった。
 明日はいよいよ人間をつかってみようと思う。あいつらには言っていないが、いいものが出来たら新発見の生物として学会に発表するつもりだ。いい加減結果を残さないと出世もかなわない。もちろん流石にありのまま論文に書くわけにはいかないが。
 今 日突然妻が訪ねて来た時は驚いた。なにもみられていないとは思うが。」
 「6月23日(最後のページ)
 見られていた。」
 USBメモリには写真とメールのコピーが入っています。写真は「生物の合成」の実験記録で、日付ごとにきれいに整理されており、様々な動物が写っています。中には2つの動物の特徴を持つキメラのようなものや、ピンク色のドロドロのムースのような物質のものも含まれています。このようなグロテスクな写真を見た探索者は1/1D4のSANチェックです。
 メールのコピーには研究の進展を喜ぶものやさらなる成果を催促するもの、頼まれていた動物を届ける日程などが書かれています。
 USBを閲覧するためにパソコンを調べた場合、あるいは<目星>をした場合はパソコンの電源ケーブルが千切れそうになっていることに気が付きます。
 小さなケースには指輪が入っています。裏面には日付が彫ってあります。
 日記をみた探索者は廊下の消火器を探すでしょう。これは研究室から少し離れた所にあります。ただし、ケースに入っておりケースの扉を開けると警報がなるようになっています。

12.異形の襲撃
 一通り探索が終われば、探索者は一旦家へ帰るでしょう。
 その時、一番探索の動機が薄いであろう探索者に向けて、襲撃イベントを発生させてください。
 探索者が1人自宅でくつろいでいると部屋の外から物音がします。<聞き耳>に成功するとこの音を聞くことが出来ます。その音はなにか部屋の外の物を倒した音です。
 音に気が付いた探索者が部屋の外の様子を確認すると、そこにはなんともおかしな生物がいます。この生物は蛸の姿をしているのですが1本の足の尖端が蠍の尾のようになっており、もう2本が鋏を持っています。体のところどころには甲殻のようなものもついています。<生物学>に成功すればこの動物は真蛸とダイオウサソリの特徴を持っていることがわかります。
 この生物は探索者の存在に気が付くとまるでそれが天に与えられた使命であるかのように襲いかかってきます。なお<聞き耳>に成功すれば扉一枚隔てた状態で戦闘が始まりますが、失敗した場合探索者はこの異形の侵入を許しすぐそこまで接近された状態ではじまります。
 蛸蠍 異形の生物
 STR15 CON11 SIZ6 DEX6 INT5 POW1 HP8 MP1
 SAN喪失 0/1D3 
 棘のある足を振るう 15% ダメージ1 POT9の毒 毒は体の痺れを起こしDEX-2する。
 鋏のある足を振るう 15% ダメージ1D6 1Rに2回攻撃可能
 上記の攻撃は1Rに全て同時に行使可能。
 組み付き 50% ダメージはなし
 装甲 なし
 探索者は自分が部屋の外へ逃げ出すかもしれません。そうした場合探索者は外にいる不審な一団に気が付くことが出来ます。彼らの車はアイリンの襲撃にしようされたもので、格好もその時と同じものです。
 もし探索者が戦おうとした場合は、KPは逃げることも可能だとそれとなく伝えてください。それでも戦おうとするばあいは仕方ありませんが。
 その一団は探索者が逃げるか倒れるかすると蛸蠍を回収して逃げ去ります。その後を追うには「入れ違いの来客」の部分と同じことをします。
 なお、この蛸蠍を見て人面ヒトデの写真も見た探索者が<アイデア>に成功すれば、この2つの生物が似たような出来方をしていることがわかります。

13.芹沢教授の論文
 芹沢教授の研究室は、彼の殺害の舞台となった場所ですが、探索者が訪れるころにはもう警察による規制はありません。鍵もかかっていない状態になっています。
 探索者が机に<目星>をすると、「人面ヒトデの虚構」と銘打たれた論文の束を見つけることが出来ます。
 <生物学>に成功した探索者はこの論文の内容を理解できます。論文によれば、人面ヒトデの人に近い部位とヒトデの部位では細胞のDNAが全く違い、しかも人に近い部分のDNAは空条教授のものと半分一致しました。つまり人面ヒトデは2つの生き物を何らかの方法で結合させた作り物で、しかも空条教授は血縁関係のあるものを材料にした可能性が高いと結論付けています。

14.動物の調達
 空条教授の研究室の書類をみた探索者は動物の調達先を探るでしょう。
 またこの街には観賞用の昆虫や爬虫類を取り扱う店があります。そこに訪ねていくと、数日前蠍や蜘蛛を不自然な数買っていった客の存在を教えてくれます。店主によればもっと売って欲しいということだったので流石に不審に思い、商売を始めるならそういう業者のところに行ってくれと言ったそうです。また<目星>や<生物学>に成功すれば、売った蠍の中に探索者を襲撃した蛸蠍の元になったのではないかと思われる種類のものが見つかります。

15.自動車整備場
 不審者の車をつけるとその車は郊外の自動車整備場に入っていくことがわかります。ここは既に事業者が倒産し自動車整備場としての業務は行っていないようですが、不審者たちがアジトにしています。
 建物は1階建てで、事務所の部分と自動車を整備する作業場の部分に別れています。事務所には特に不審な部分はありません。
 作業場のシャッターは降りていますが、事務所から入ることが出来ます。作業場には古い工具がある程度で不審な点はありません。しかし地下へ続く通路があり、そこから地下1階へ入ることが出来ます。この地下は元々車の下に潜り込んで作業をするスペースですが、今は整備用の工具の代わりに様々な書類やパソコンがおかれています。パソコンには空条教授とやり取りしたメールが残っています。
 また手記もあり彼らが教団を裏切って強力な力を持つ怪物を利用し、権力を握ろうとする計画についても以下のように書かれています。
 4月23日
 教団幹部の野郎は頭が固い。
 大体権力を握りたいならわざわざ神様の落とし子を探さなくてもいいだろう。
 もっと賢いやり方がある。なんで空条に作らせた呪文を棄てちまったのかわからねえ。
 あのキメラがあればいくらでも生物兵器を作れるのに。
 6月10日
 空条と交渉がうまくいった。芹沢って奴一人殺せば呪文が手に入る。楽ちんなことだ。
 ただあいつの眼はやばい。人を殺すのをなんとも思ってなさそうな眼をしてる。
 何年も裏社会を渡ってきた俺の勘がそういってる。殺しが終わった後用済みだとか言って殺されかねねえ。
 注意すべきだ。
 あと娘も攫えとか言ってたが、なんのためだ?
 学者センセの考えることはわからん。
 6月14日
 ようやく呪文のやり方がわかったからメモしておく。
 まず合成したい生き物を2匹用意する。
 これを金属製の箱に入れて海水で満たす。
 1時間くらい呪文を唱えたらキメラの完成。
 マーシュが呪文を棄てちまった理由がわかった気がする。
 面倒だ。

16.全ての真相
 今までの情報を整理すると、次のような真相が浮かび上がるはずです。
 まず幸福の巫女内部に教祖に不満を持つ人間がいて、なんとかして力を手に入れて教祖を追い落とそうとしていました。
 そこで空条教授に働きかけて、5年前に作成した呪文の再現を依頼しました。その際引き換えとして芹沢教授を殺害する計画を立てていました。
 空条教授は5年前、人面ヒトデの材料に自分の妻を使いました。実験を見られてしまったからです。そして実験に勘づき始めている娘を、今度は材料にしようとしているのです。

17.ラストイベント
 探索3日目の18時、最後のイベントが発生します。その2時間ほど前からアイリンの携帯が通じない状態にしておいてください。
 18時になると空条教授から「見せたいものがあるから来るように」と研究室へ招待を受けます。
 研究室の机には大きな箱のようなものがあり、布がかかっています。また<アイデア>に成功すればこの前訪れた時より水槽の数が増えていて、それらも布で覆われていることに気が付きます。また<聞き耳>に成功すれば、部屋全体から腐臭が漂っていることに気が付きます。
 空条教授は探索者に向き直ると「これが私の研究成果だよ……ここまでたどり着くのに苦労したよ」と語り箱の布を取り去ります。そこには大きなヒトデのような生物がいました。<聞き耳>に成功すると呻いたり濁った声で探索者の名前を呼んだりしていることがわかります。近くによってよく見ればわかりますが、このヒトデは写真で見た人面ヒトデそっくりであることがわかります。
 探索者がこのことを指摘すると教授は「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」といい手を叩きどこかに合図を送ります。すると増えていた水槽を破って蛸蠍が大量に部屋に流れ込みます。空条教授は狂ったように笑いながらその波にのまれてしまいます。割れた水槽の向こうには例の不審者が3人水死体の状態になって出てきます。
 蛸蠍の数は3D10+10匹です。これらは探索者めがけて襲いかかってきます。机の上に飛び乗って逃げる場合は<跳躍>に成功する必要があります。一度失敗しても次のラウンドの蛸蠍の攻撃までに<跳躍>あるいは<登攀>で登るか、既に机に登っている探索者に引き上げてもらうことで登ることが出来ます。
 机の上には1Rに1D6匹の蛸蠍が登ってきます。この蛸蠍は探索者の自宅へ襲撃したものより小型です。これは攻撃することで叩き落とすことが可能です。
 蛸蠍(小)
 STR11 CON8 SIZ4 DEX4 INT5 HP6
 SAN喪失 0/1D3 
 棘のある足を振るう 15% ダメージ1 POT7の毒 毒は体の痺れを起こしDEX-2する。
 鋏のある足を振るう 15% ダメージ1D6 1Rに2回攻撃可能
 上記の攻撃は1Rに全て同時に行使可能。
 組み付き 50% ダメージはなし
 装甲 なし
 研究室は3階にあり、机と扉は離れているので逃げ場はありません。だだし<登攀>に2R成功すれば壁の水槽の部分や棚に足をかけてドアまで進み、それを開けることで外に脱することが出来ます。1人が外に出られれば蛸蠍の半分がそちらに気を取られ向かいます。
 <登攀>に失敗すれば床に転落します。床にいる場合は1D4+2匹の蛸蠍から攻撃を受けることになります。
 また<跳躍>で直接窓を突き破って外に逃れることも不可能ではありません。ただし落下時に2D6ダメージを負うことになります。<跳躍>にもう一度成功すれば1D6で済みます。なお1度目の<跳躍>に失敗すれば無様に床に落ちます。

18.研究室からの脱出
 研究室から脱出する方法は2つあります。1つはドアから出て、消火器を取りに行きそれを使うという方法です。
 2つ目の方法は壊れたコードを利用して部屋全体に電気を走らせる方法です。探索者がパソコンを調べればパソコンのコードが何故かちぎれそうになっていることに気が付けます。
 研究室の床は水びたしになっているので、そのコードを使えばほんの少しの間ですが蛸蠍の動きを止めることが出来ます。DEX*5のロールに成功すれば蛸蠍が再び動き出す前に部屋を抜け出すことが出来ます。スタンガンを所持している探索者がいればそれを使うこともできます。その場合はDEX*3のロールが必要です。

19.シナリオ終了
 消火器を使えばブザーが鳴り、騒ぎになるのでいずれ研究室での出来事は警察の知るところとなります。探索者たちは警察の取り調べを簡単に受けて返されることになるでしょう。後日ニュースでは空条博士は実験中に毒を持った動物に刺されて死亡したことになっています。
 研究室から脱出した者たちには報酬として1D6+3の正気度報酬が与えられます。また<生物学>および<オカルト>に成長ロールを行うことが出来ます。
 シナリオ上不可能に等しいですが、アイリンを救うことが出来たなら正気度報酬に1D6を追加します。
ラベル:赤崎犯科帳
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2015年02月15日

砂州良学園の七不思議 シリーズ概要

 目録
 第1話 旧校舎の怪物
 第2話 サナエさんの噂
 第3話 不老不死者と邪神の洞窟 ※順序公開予定

 砂州良学園の七不思議とは?
 大都会のベットタウン、そんな街にある私立の中高一貫校が探索者の通う砂州良学園です。
 この学園には昔から生徒の間である噂がまことしやかに囁かれてきました。
 曰く、旧校舎に入った者は二度と生きては帰れない。
 曰く、体育倉庫から亡霊のすすり泣きが聞こえる。
 曰く、苛められっ子のサナエさんは今も復讐相手を探している。
 曰く、夜に学校のプールにいるとそこに引きずりこまれて死ぬ。
 曰く、体育館の地下から狂った笑い声が聞こえる。
 曰く、裏山にある洞窟はいるとそこに住む怪物にとって喰われる。
 曰く、学園の理事長は不老不死の化け物である。
 探索者はこの学園の人々と一緒に、七不思議の解明に乗り出します。果たして彼らは目的を達成し、生還することができるのでしょうか。
 このシナリオ群は第1話から第3話までのキャンペーンを前提として構成されています。第1話のみなら単発シナリオとしての利用も可能ですが、第2話以降は難しいかもしれません。
 しかしシナリオ間の伏線はさほど強くなく、舞台も限られ情報量も多くはないのでキャンペーンを一回はまわしてみたいKPには都合のいい1品となるかもしれません。
 当然、学生ロールをがっつり楽しみたいPLにもおすすめです。

 使用上の注意
 舞台が特殊であるため、探索者の創造には一工夫必要でしょう。
 拡張サプリ『クトゥルフ2010』には学生探索者の創造の追加ルールがありますが、時間がかかり探索者としても使いにくいものになってしまいます。
 作者がテストプレイを行った際には、EDUは2D6+3(中学生は2D6)、技能値が80%を越えるものは1つまでという縛りを設け通常通りに創造を行いました。これなら楽である一方、他のシナリオには探索者を継続しにくいというデメリットがあります。
 またシナリオは教員、あるいは部外者のような学園の生徒以外が探索者となることを前提としていません。KPは必ずPLにこのことをアナウンスしてください。
posted by 新橋九段 at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | CoCシナリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする