2016年06月02日

アイアンマン・パシリム・仮面ライダーにみる装備の合理性

 私は、アイアンマンや仮面ライダーといった「体に装着するスーツ系」のヒーローは好きです。一方で、ガンダムや戦隊ものの合体ロボット、『パシフィック・リム』に登場するイェーガーのような巨大ロボはあまり好きではありません。
 その大きな理由として「巨大ロボには合理性がない」というものが挙げられます。実際、『パシフィック・リム』を見ている最中も「これ作る暇と金あったらオキシジェン・デストロイヤー的なの作ればよかったのでは」「ロボの立派さに比べて装備貧弱すぎないか」ということが頭をよぎっていました。
 そもそも、ただでさえ巨大なものを作るのは大変なのに、現代でさえ小走りが限度の二足歩行をさせて戦わせようというのが無茶な話です。

 アイアンマン:その進化の系譜
 それに比べて、アイアンマンや仮面ライダーのような纏うタイプのパワードスーツは制作も容易で、戦闘という目的にもかなっています。特にアイアンマンの設計思想における合理性には目を見張るものがあります。わかりやすくするために、列挙してみましょう。
 第1作『アイアンマン』ではまず試作品のMk.1、それを改良し現在の形に近づけたMk.2、完成系のMk.3が登場します。Mk.3の登場には、Mk.2で課題となった高高度時における噴射口の氷結を解決するという目的があり、これがオバディアとの対決に生きてくるわけです。
 第2作『アイアンマン2』では、タキシードを着たまま着用できるMk.4、アタッシュケース型になり持ち運べるMk.5(装着シーンがめちゃくちゃカッコイイ)、そしてアークリアクターに新たな燃料を利用することで、体への負担という問題を解決したMk.6が登場します。
 その後、『アベンジャーズ』においては、腕輪によって誘導され自動で空を飛びやってきた、空中で装着が可能なMk.7が登場します。これは、Mk.5の戦闘時において、限られた装備と薄い装甲のために敵に苦戦した経験が裏にあるのだと思います。完全な装備を持ったスーツが飛んで来れば便利ですからね。
 ちなみに、このころからスーツの脱着が専用の滑走路に限って歩きながら出来るようにもなってきます。
 そして『アイアンマン3』ではMk.42まで一気にナンバーが飛び、パーツが空を飛び自動で装着できるようなります。これでスーツの脱ぎ着には完全に場所を選ばなくなりました。さらに自動操縦という極地にもたどり着きます。「これ中に人がいる必要あるの?」という言わない約束な質問をぶっ壊す機能です。
 しかも、トニーがちまちま作っていたスーツには全て裏設定があり、ステルス仕様だったり水中作業用だったり重機チックな機能があったり、しかもそれぞれ試作品と完成品があったりと、試行錯誤が感じられる設定がされています。
 そして『アベンジャーズ:AOU』では爆発させたスーツの代わりで、パーツごとの装着にも対応し、装着のためのパーツの飛行精度も大幅に向上したMk.43、ハルク制御用のスーツMk.44ハルクバスター、J.A.R.V.I.S.の代わりにF.R.I.D.A.Y.を搭載したMk.45が登場します。
 最後に『シビル・ウォー』では、トニーが比較的苦手な近接戦での戦闘分析機能や飛行機での装着(これもカッコイイ)に対応したMk.46が登場しました。さらに、腕時計からアイアンマンの手のパーツを彷彿とさせる手袋に変形するガジェットも開発されていました。
 こうしてみると、直面した課題を解決するという基本的な開発の順序を辿って進化していっていることがよくわかります。

 仮面ライダーの機能
 一方、フェアなことを言えば仮面ライダーの装備はそこまで合理的というわけでもありません。これは玩具を売らなければいけないバンダイの都合と、仮面ライダーそのものの誕生経緯によります。
 平成ライダーに限って言えば、そもそもクウガやアギトは誰かが何かの目的のために開発したわけではありません。クウガはアマダムによる変化ですし、アギトは人間の進化の結果です。
 開発されたベルトとしては、龍騎が初になります。しかしこれはゲームのために存在するので、各々のプライヤーたるライダーのスペックや装備にばらつきがある方がむしろ合理的でしょう。
 純粋に敵を倒すという目的をもって開発されたのは、555に登場するベルトが初になるでしょうか。これはデルタ→カイザ→ファイズと進化していっていますし、ファイズに関しては格闘に剣、銃撃、高速移動機能など幅広く取り揃えておりオールマイティに戦えるベルトになっています。
 そういう意味ではカブトやガタックのベルトも比較的合理的な設計をなされています。カブトは格闘を主体に斬撃と銃撃はクナイガンで補い、ガタックはブレードとマスクドフォーム時のバズーカーで対応しています。ザビーやドレイクは攻撃方法に偏りがありますが、分業と言い換えれば一定の合理性はあります。
 一方、ブレイドのシステムにはあまりそういった要素は見られません。これは、システムに先立って存在していたラウズカードに依存した機能であるためでしょう。響鬼のような鬼も、あれは鍛えた結果なので得手不得手が属性や使用武器によって極端に出ることとなります。電王やキバも機能をオトモ怪人に依存しているので、バランスや合理性とは無縁な感じがします。
 二期ではダブルが一番合理的な設計をしています。ガイアメモリは多く使えば強力ですがその分負担も大きいので、2人に分けてしまえというのはパシリムのイェーガーと発想は変わりません。3×3の組み合わせで多くの状況にも対応できます。
 鎧武も多くのロックシードを使用できるという点では、兵器としては合理的です。何より、ベルトさえあればだれでも変身できるというのが大きいです。侵食するヘルヘイムの森の脅威から人類を救うためのベルトなので、当然の機能ですが、重要です。
 ドライブも多くの機能を兼ね備えたスーツになっています。サポートマシンであるシフトカーを大量に使い情報収集を優位に進めるという、警官に嬉しいフォローもあります。
 一方、800年前に誕生したオーズのベルトや、パワーアップが偉人依存なゴーストは合理性とは遠いところにあるように思えます。ただ、オーズはダブルの比ではない組み合わせ数を扱えますし、ゴーストもグレイトフルで偉人を呼び出すという「これ中に人がいる必要あるの?」の再来など、見所があります。
 フォーゼに関しては、多くのスイッチを使えますがあくまで戦闘用ではなく、宇宙服の進化系として開発されたのではないかと思わせられます。

 見せ方で変わる評価
 長々と羅列してみましたが、あまり合理的でないと評したライダーに関しても、役割のバランスはとれていたりと合理性を見い出すことは可能ではあります。ただそれが全面に感じられないというだけで。この違いは何なんでしょうか。
 このことを考えるのに重要なのは、その機能の見せ方の問題です。
 例えばパシフィック・リムでは、抱き着いてきた怪獣に対して胸からビームを放って対処するシーンがあります。それを見たとき、「ああ胸にビームがあるのはこのためか」と妙に納得してしまいました。無論そんな限定的な状況のために装備を用意しているわけがないのですが。
 ようするに大切なのは、ある問題があってそれを新しい機能で解決したという流れです。目的を達成するために用意された機能は、否応なく合理的に見えるのです。
 アイアンマンでは、特にそのことが強調されています。一方仮面ライダーでは、そういう側面もありますが「コアメダルが手に入ったので使ってみた」のように、唐突にアイテムが登場し新機能のお披露目になったりもします。
 またアイアンマンは装着者が開発もしているのに対し、仮面ライダーはほとんどの場合開発にはノータッチです。これも新機能登場の唐突感を出している原因になっています。場合によっては天井裏からアイテムがふって来たりしますから。

 翻って巨大ロボに関しては、そもそも巨大なロボを作ろうというコンセプトからして合理的でないにもかかわらず、その世界では巨大ロボが自明されているので合理性の前に不可思議です。そのうえパイロットは大半の場合開発者ではないので合理性をアピールする物語も前面に出てきにくい状況にあります。
 せめて巨大ロボである理由の説明がなされていればいいのですが(ちなみにガンダムが巨大ロボである理由である、なんちゃら粒子のせいでレーダーが効かないから云々という説明には納得していません。上下左右の感覚がない宇宙でわざわざ人型の兵器を作る理由になってないでしょう)。
posted by 新橋九段 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ・映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック