2015年04月27日

「片割れ連続殺人事件・八つ墓明神祭の夜の恐怖」月刊マー14年9月号より

「片割れ連続殺人事件・八つ墓明神祭の夜の恐怖」月刊マー14年9月号より
 八つ墓明神祭―山口県の寒村で行われる、8人の落ち武者の霊を弔う奇祭である。本誌連載『日本の奇祭へ』取材チームの仕事は、この祭りの取材し、いつもの通り連載記事を書き上げることだった。もっとも、その祭りで起きた奇怪な出来事のせいで、その仕事は叶わなくなってしまったのだが……。
 八つ墓明神祭は毎年8月のお盆の時期に行われる。私たちはこの祭りの主催者であるT家の長男にアポイントメントを取り付け、会場となる村に向かった。
 JRの最寄り駅から車でおよそ3時間、村ではT家と並び立つ権力者であるN家の者に案内され山道を進んだ。
 村に入るなり熱烈な歓迎を受けた。無論皮肉である。小汚い格好の尼がいきなり私たちに近づいてきて「よそ者がここへ来てはならん!祟りが始まるぞ!引き返せ!」などと罵っていったのだ。N家の者によれば、彼女は村でも評判の悪い気の狂った尼らしい。我々はそうならばと特に気にすることもなかった。
 今思えば、この尼の言うことは全くの正論であった。あの時引き返しておけば、このような陰惨極まりない事件に巻き込まれることもなかったはずなのに。
 しかし考えてみてほしい。狂人の忠告を一体誰が真面目に受け取るだろうか。
 そう考えると、人々を通り越して真実を知ってしまった者は、凡人には狂人としか受け取れないのかもしれない。

 私たちはN家の案内でT家に通された。通された居間には、この事件の主役となる人々がそろっていた。
 まずはT家の長男。彼は末期がんらしく、床に臥せってそこから出ることがまずない。
 次にT家の双子の老婆。この双子は気味が悪いほど似通っていて、家の者にすら区別がつかないという。長男の病状もあり、実質の主権者はこの老婆たちである。
 そして長男の娘たち。驚くべきことに、彼女たちも双子である。T家には双子を生じやすい遺伝的な要因があるのかもしれない。
 T家の近くの寺に住むという尼も同席していた。当然この尼は先程の尼とは違う、礼儀正しい方であった。
 私たちを案内してくれたN家の者も、N家の長男で家長であるらしい。
 最後に私たちの取材チームを紹介しておこう。何故なら、この取材チームの構成こそ事件の鍵となるものであったからだ。
 まずは私、本誌連載『日本の奇祭へ』取材チームのメンバーの中では最年少の女性記者である。
 次にH、取材チームでは最年長であり、連載のとりまとめ役でもあった男性だ。
 普段私たちは2人1組で取材にあたる。なので予定ではこの2人で現地に乗り込む予定であったが、祭の主催から、何人か祭の見物人になるような人を連れてくることを取材の条件とされた。
 なのでHのつてで大学生を2人連れていくことになった。Aとその後輩であるBである。ちなみにAは男でBは女だ。
 ここで今まで登場した人々をよく思い出してみてほしい。奇妙な共通点に気が付かないだろうか。

 この事件に関わった人々は皆「ペア」になっていたのだ。
 まずT家とN家それぞれの長男、T家の双子の老婆、同じくT家の双子の娘たち、気の狂った尼と礼儀正しい尼。そして私たちは取材チームと大学生でそれぞれ男女のペアになっている。
 片割れ連続殺人事件、つまりこのペアの片方ずつが順番に殺されていくのだ。しかも、その狂気の事件は私たちが村に入った時には既に始まっていたのだ……。
(10月号に続く)
※お詫び
 誠に申し訳ありませんが、諸事情により連載『日本の奇祭へ』は一時休止させていただきます。

 お詫び 月刊マー14年10月号より
 誠に申し訳ありませんが、先月号で予告していました「片割れ連続殺人事件・八つ墓明神祭の夜の恐怖」の続編は、担当記者の健康問題により中止させていただきます。
 また一時休止とさせていただいていた連載『日本の奇祭へ』は連載終了とさせていただきます。
 来月号からは連載『こんなところに!秘密結社暗号FILE』を2ページ増量してお届けします。ご期待ください。

 月刊マー記者の退職願より抜粋
 誠に申し訳ありませんが、本日付で中学館ならびに月刊マー編集部を退職させていただきます。
 折角いただいた連載を放り投げ、その後始末である記事も満足に書けなかったことを深く反省しております。
 しかし私にはできません。続きを書こうとしても書けないのです。あの夜に出会った落ち武者の甲冑が歩く音が耳にこびりついて離れません。いまこうしてこの文章を書いている間にも、その体の一部にせんと私を襲ってくるかもしれないと考えてしまいます。
 私の気は、あの尼と同じように狂ってしまったのかもしれません。
 しばらくは精神病院で過ごし、回復を待ちたいと思います。なんとなくですが、病棟には落ち武者の甲冑は来ない気がしますので。

 横溝正史『八つ墓村』 某大学生協POPより
 この前先輩に映画を見せられ見せてもらって、久しぶりに本を読んでみようかな?って思って手に取りました。昔の本だからというのもあるだろうけど、難しかったです。それに推理小説っぽくなくて、どっちかというとホラー小説っぽかったです。
 投稿者 アンブレラ子さん 文学部1年
posted by 新橋九段 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | CoCシナリオフック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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