2015年04月08日

サナエさんの噂

0.KPをする方へ
 このシナリオはキャンペーン『砂州良学園の七不思議』の第2話として作成されたものです。始める前に、まだ読んでいないのなら概要を読むことをお勧めします。

1.あらすじ
 9月、2学期の初めに探索者たちは石崎に連れられて水泳部の取材に向かいます。そこで、プールで袖引きにあったという女子部員篠原に出会います。
 時を同じくして、探索者たちは転落した奇妙な死体を見つけることになります。プールの袖引きと失踪していく水泳部員との関連は?サナエさんとは何者なのか?探索者は真相にたどり着けるのでしょうか。

2.登場人物
 石崎千恵子 17歳(高等部2年) 新聞部部長
 第1話から引き続き登場。もっとも生き残っていればだが。彼女がいなくても本シナリオの運営には支障はありませんが、不便だと思うなら彼女に代わる人物を登場させて構いません。
 今回は水泳部の取材に始まりその部の失踪事件からプールの袖引きまでの取材に対して熱心に探索者を巻き込もうとします。一方で転落死事件には人死にが出ているためか抑制的な感じです。

 東早苗 16歳?(高等部1年) 噂の亡霊
 STR11 CON22 POW11 DEX4 APP9 INT15 SIZ13
 HP18 MP11 SAN0/99 db0
 組み付き20% グラーキの棘20% 7D3
 持ち物 グラーキの棘
 10年前突き落とされた少女です。彼女は死ぬ寸前にグラーキの針に突き刺され、グラーキの従者となりました。
 その後は地下通路の部屋に隠されていましたが、第1話でショゴスが暴れたために扉が破壊され、外に出ることになります。
 完全にグラーキの従者となっている彼女の最大の目的はグラーキの召喚です。そのためには実の母親も平気で利用しようとします。
 その心には復讐だけが残っています。

 東加奈子 53歳(高等部美術科教師) 事件の元凶
 STR9 CON11(20) POW9 DEX8(3) APP11 INT17 SIZ11 EDU18
 HP15 MP9 アイデア85% 知識90% 幸運45% SAN0/99 db0
 英語70% 芸術(絵画)70% 制作(絵画)60% グラーキの棘40%
 持ち物 グラーキの棘 グラーキ黙示録 娘の写真
 早苗の母親です。早苗が小さいころに離婚しており、1人娘を溺愛していました。
 娘が死んでしばらくはショックで仕事が出来ずに休職するほどでしたが、ほどなく復帰します。
 実は娘が死ぬ直前、その冒涜的な知識を活用し手に入れたグラーキの棘を使い娘をグラーキの従者にして生きながらえさせます。
 しかし第2話冒頭で娘に棘を刺され自分のグラーキの従者となってしまいます。
 その後はグラーキ召喚のために積極的に動くことになります。

 紅谷葵 16歳?(高等部1年) 体育倉庫の悲鳴
 STR7 CON14 POW5 DEX1 APP5 INT9 SIZ7 EDU12
 HP11 MP5 SAN0/99
 早苗を屋上から突き落とした張本人です。今は加奈子に体育倉庫に閉じ込められています。
 首輪で拘束されており、両手足は切断されています。制服は旧式のものです。
 針の毒が足らずに、中途半端にグラーキの信者になっています。そのため自我が半端に残っています。
 拘束されているためにグラーキ召喚のための行動を起こす気があるようではなさそうです。

 片山春奈 17歳(高等部2年) 水泳部の部長
 STR12 CON14(23) POW11 DEX14(5) APP13 INT12 SIZ13 EDU13
 HP13(18) MP11 アイデア60% 知識65% 幸運55% SAN55/99
 水泳70% 信用60% 説得55%
 探索者の友人で水泳部の部長を務める女子生徒。
 性格は真面目で会談話を信じるようなタイプではないが、流石に今回の事件は気味悪がっている。
 事件の翌日の放課後、1人でプールの片づけをしているところをサナエさんに襲われグラーキの従者となる。

 篠原千夏 17歳(高等部2年) 袖引きにあった少女
 STR12 CON13 POW8 DEX12 APP13 INT13 SIZ11 EDU12
 HP12 MP8 アイデア65% 知識60% 幸運40% SAN40/99
 水泳50% オカルト40% 図書館40% 応急手当50%
 元々は水泳部のホープとも言われたほどに活躍していた選手。
 今年の夏休みの練習中に溺れたことがトラウマになってプールに入れなくなってしまった。
 彼女曰く誰かに足を引っ張られたとのこと。その原因を突き止めるべく調査を細々としている。

 石川美穂 16歳(高等部1年) 転落した女子生徒
 転落死した女子生徒。彼女の髪形はショートカットです。彼女は放課後の校舎でサナエさんに出会い襲われて屋上へ逃げました。しかしサナエさんに追い詰められて半狂乱になってフェンスを乗り越え、足を滑らして転落したのでした。

3.導入
 以下の導入は探索者1人1人に課しても、1人に複数経験させても構いません。探索者に応じて適当に配分してください。
 導入A 体育倉庫の呻き声と犬の亡骸
 探索者は放課後の遅い時間、先生に体育倉庫にある机をいくつかプールの倉庫へ移すように仕事を依頼されます。探索者が机を取りに高等部の運動場の体育倉庫のそばを通りかかると、倉庫の3つあるうちの片方の中から呻き声のような音が聞こえてきます。この倉庫には窓はなく、扉にもしっかりと大きな錠がかかっているのであけることが出来ません。大きな錠に対し<鍵あけ>を試みてもうまくいかないことがわかるだけでしょう。もし<聞き耳>に成功したなら、呻き声に混じってすすり泣きが聞こえることもわかります。このような奇妙な声を聞いた探索者は0/1の正気度を失います。
 探索者が今度は机を運んで倉庫のあるプールの裏手に向かうと、そこには大型犬の死体が転がっていました。犬の体は腹から裂けており、周囲には大量の血が流れた跡も残っています。また腹には金属粉のようなものがあり、焼け焦げています。所々虫が湧いていて、パッと見で死んでから数日経ったものだろうとわかります。この死体を見た探索者は0/1の正気度を失います。
 <医学>に成功すれば、この犬の死体が死後2日以内のものだろうと推測できます。さらに<医学>に成功すれば腹の傷は外からではなく、中から裂けたものだとわかります。また<博物学>か<地質学>に成功すれば金属粉は金・銀・銅・鉛などの様々な種類の金属が混ぜられたものだとわかります。<オカルト>に成功すればそれが何かの儀式、特に何かを呼び寄せる類の儀式のあとに似ていることがわかるでしょう。<クトゥルフ神話>に成功すればグラーキに関わる儀式と共通点が多いことがわかります。

 導入B 転落死体
 第1話をクリアした探索者たちはその数週間後、学校に朝早くに行かねばならない用事が出来てしまいます。彼らが朝誰もいない学校に到着すると校舎の近くの花壇のあたりに何かが落ちているのを発見します。探索者が近づいて見てみると、これは高等部の女子生徒の亡骸であることがわかります。恐らく屋上から落下したと思われる彼女の体はコンクリートに打ち付けられ周りには血液や肉片が飛び散っています。この凄惨な光景を目の当たりにした探索者は0/1D4の正気度を失います。
 この遺体はパッと見でわかる不可解な点がみられます。彼女の体には何かでめった刺しにされたような跡が残っていたのです。もし<医学>に成功したならこの傷は針のようは細いものでつけられたのだとわかります。
 探索者は教師を呼んでこの事態を知らせるでしょう。そうすれば警察と救急車が到着し現場は少しの間閉鎖されます。また捜査のためその日の授業は休みになってしまいます。もし探索者がいつまでたっても教師や警察を呼ばないようでしたらKPから向かわせてください。

4.合流 サナエさんの噂
 学校が再開され、その日の授業が終わると探索者は新聞部の活動の一環として女子水泳部へ取材に出かけます。この取材には導入Bを経験した探索者を必ず連れていくようにしてください。毎年新聞部では2学期が始まるとレギュラーや部長の交代した部活に取材をして新聞にまとめています。この取材には適当な理由をつけて探索者全員で向かっても構いません。部に知り合いがいるから。女子生徒に取材をさせた方がやりやすいから。男性探索者のAPPが高ければその人物を向かわせることで新聞部への注意が向くことにしてもいいでしょう。
 取材を部長である片山春奈していると、彼女は探索者に昨日死んだ少女の髪形がどのようなものだったか尋ねてきます。探索者は死んだ少女の髪形はショートカットであったことを思い出せるでしょう。
 探索者がそのことを伝えると、片山は七不思議に関わるある話をしてくれます。
 10年ほど前、この学校にはサナエさんという女の子がいました。彼女は変わった性格をしていたためにみんなからいじめられていました。ある日、いじめっ子の1人がサナエさんを校舎の屋上に呼び出しました。何があったかはわかりませんが、彼女はサナエさんを屋上から突き落としてしまいました。彼女が落ちたサナエさんを見に行くと、確かに転落したはずの場所にサナエさんの姿がありませんでした。
 その後、不可解なことが学校を襲いました。サナエさんをいじめていた生徒たちが次々と死体となって校舎で発見されたのです。彼らは様々な死に方をしていましたが、皆共通してサナエさんにした嫌がらせに関わる死に方をしていました。例えば靴をゴミ箱に捨てた生徒なら死体がゴミ箱から発見され、水をかけるという嫌がらせをしたなら水を大量に飲まされて溺死していたといった感じです。その死に方から、サナエさんが生前苛めてきた者に復讐していると噂されていました。極め付けに、サナエさんを突き落とした少女はその後行方がわからなくなり今も見つかっていません。
 サナエさんをいじめていた生徒が皆死んだ後も復讐が止むことはありませんでした。サナエさんはまだ恨みにとらわれていて、自分を殺した少女に似た髪形の女の子を時々殺してしまうと噂されています。
 片山の髪形も、前日に死んだ少女そっくりのショートカットです。片山は話を終えると、不安そうな様子を見せながら去っていきます。彼女はこのような噂を信じるタイプではありませんが、この噂はあまりにも有名で偶々とはいえその通りに人が死んだのは流石に気味が悪いのだろうと他の部員や石崎が探索者に伝えます。

5.プールの袖引き
 探索者が取材をしている間他の探索者も別の人物に話しかけることが出来ます。プールサイドにいるのは部長を含めて部員が5人と顧問の先生です。部員の1人は練習に加わらずにベンチに腰掛けて見学しています。
探索者が本人や他の部員のその人物のことを聞くと、彼女は夏休みの練習中に足をつって溺れてしまい、そのことがトラウマになってプールに入れなくなってしまったのだと教えてくれます。それまでは2年生ながら大会でも好成績を残していた選手だったようです。
 本人からはさらに詳しい話を聞くことが出来ます。彼女曰く、練習中に足をつったのではなく何かに掴まれてプールに引きずり込まれそうになったのだといいます。その時は日も傾き出しただいぶ遅い時間で、プールに入っていたのは彼女だけでした。周りから見たら突然溺れたように見えるだけでしたが、本人にとっては何かが、というよりは誰かが引っ張ったのだと確信できるほどのものでした。
 プールで足を引っ張られるという類の噂話を探索者たちは知っています。所謂「プールの袖引き」というものです。これはプールに夜勝手に忍び込んだ生徒が全員翌朝に水死体で見つかったというものから、篠原の様に普通に泳いでいたら足を引っ張られたというパターンまでバリエーションに富んでいます。またサナエさんに絡めて、実はサナエさんが突き落とされたのはこのプールで、彼女は恨みを晴らすために生徒をここへ引きずり込んでいるというパターンもあります。
 結論としてはどれも正しくなく、元々これだけは唯一実態のない噂にすぎません。しかし夏休み前の旧校舎での事件で地下室から出てきた早苗はプールに身を潜めており、時折水中に潜むこともありました。偶々その時に篠原はプールの中に入ってしましまい、早苗に引きずり込まれそうになったというのが彼女の身に降りかかった不幸の真相です。

6.体育倉庫の悲鳴
 探索者は体育倉庫についてある噂を知っています。それは七不思議の1つで、その体育倉庫から誰かの泣き声や呻き声が聞こえてくるが、その体育倉庫を開けることはできず、また開けたことのある者はいないという噂です。
 体育倉庫については、体育の教師により詳しい話を聞くことが出来ます。彼ら曰く、学校が出来た当時からあの倉庫はあったが、誰も中に何が入っているかわからないし開いたこともなく、鍵も存在しないとのことです。

7.東先生の体調不良
 探索者のうち何人かは授業として美術を受けています。学校に探索者が登校すると担任から東先生が体調不良で休みなので授業が自習になることが伝えられます。

8.卒業アルバム
 探索者が資料室を探せば、十年前の卒業アルバムが見つかるでしょう。中をめくるとクラスの集合写真が写ったページを見つけることが出来ます。その集合写真には欠席を示す、後から付け加えられた個人の写真がありますが、それが1枚や2枚ではありません。8クラスで合わせて13人分あります。他の年の集合写真は多くても4枚程度です。
 探索者がさらにページをめくると、個人写真のページに「東早苗」という生徒の写真を見つけます。サナエさんの噂を知っている探索者ならこれが噂の元になった生徒だと気付くでしょう。
 また早苗と同じクラスの付け加えられた写真の中に1人だけショートカットの女子生徒がいます。彼女も個人写真の中から探すことができます。彼女の名前の欄には紅谷葵と書かれています。

9.10年前の事件
 探索者のなかには昔から勤める教師に話を聞こうとする者がいるでしょう。年配の教師であれば事件のことをある程度知っています。
 教師曰く、確かに10年前には確かに早苗という生徒が行方不明になったそうです。またそれに続いて何人もの生徒が校内で死んだりして、異様な年だったとも話してくれます。その後「そういえばサナエさんは実は……」と言って、まずいことを言ってしまったという表情をして「なんでもない」といいます。
 <説得>や<言いくるめ>に成功すれば、その教師はサナエさんが東先生の1人娘だったこと、娘が行方不明になってから先生が暗くなったということを話してくれます。

10.片山春奈の襲撃
 1日目の探索がいくらか終わったころ、探索者の前に片山春奈が現れます。彼女の髪が濡れていることから部活終わりなのだろうと推測できるでしょう。片山は知り合いである探索者に対して「2人で話したいことがあるから来てほしい」と伝えます。探索者をプールのロッカールームへ連れてくると、高いところにある段ボールを指して、あれを取ってほしいと頼んできます。探索者が脚立にのぼって段ボールを取って振り返ると、片山が黒く長い棘のようなものを振りかぶっているのが目に入ります。
 もし片山の奇襲が失敗しても、彼女は探索者を仕留めるまで攻撃を止めません。彼女は耐久力が半分以下になると人間として立っていられるはずのない怪我を負います。例えば首の骨折や大量出血などです。しかし彼女は全く怯む様子がありません。友人に殺されそうになっていることやこういった様子に探索者は1/1D4の正気度を失います。
 耐久力が0になると片山は倒れて動かなくなります。<医学>に成功すれば彼女に対して何か違和感を覚えます。少なくとも普通の人間がこのような状態になることはないと確信します。また彼女の背中を見ると赤い筋のようなものを見つけることが出来ます。これに対して<医学>を振っても何もわかりませんが、<クトゥルフ神話>に成功すればグラーキの従者特有のものであることがわかります。
 生徒が死んだことで、探索者は教師を呼んだり、警察に通報しようとするでしょう。しかし探索者が目を離した隙に、遺体は消えたようになくなってしまいます。このような奇妙な出来事で探索者はさらに0/1の正気度を失います。
 攻撃方法によっては片山が大量に出血をしているでしょう。その場合、ロッカールームの隅にある通気口へ引きずったように血の跡が残りますが、通気口は固く閉じていて開きませんし、そもそも人が通れる隙間とも思えません。
 このイベントは探索者以外の人物に「生徒を殺害した」と認識されないようにするためのものです。探索者がそもそも他の人にこの事態を知らせる気がない、あるいは死体を秘密裏に処分しようとしているなどで、他者に漏れる心配がなければ飛ばしても構わないでしょう。

11.水泳部集団失踪事件
 朝のホームルームに、探索者は担任から女子水泳部の部員が数名行方不明になっていることを伝えられます。どうやら前日は自主練習の日で、片山を含む4人と顧問が練習をしていたはずでしたが、いつの間にか彼女たちがいなくなってしまったのだそうです。家にも帰っておらず足取りが全くつかめていません。
 探索者がプールを訪れると、その日は男子の水泳部が練習をしています。女子のロッカーには周りに誰もいないのでこっそり入ることは可能です。
 ロッカールームの中には特に不審な点はなく、荷物が残っていたりもしません。
 ただし<目星>に成功すれば部屋の隅に筆が落ちていることに気が付きます。<知識>に成功すればこれが絵画用のものであり、適当な芸術か制作技能に成功すれば絵筆に付着している絵の具が油絵用のものらしいことがわかります。

12.東先生の机
 翌日になると東先生が学校に復帰してきます。しかし探索者が東先生に話を聞きに行っても、不愉快そうな顔をされ追い返されるだけです。ただ東先生の顔色がよくないことはわかります。
 探索者は東先生が普段美術準備室に籠って絵を描いていることを知っています。いつもは訪ねても追い返されるだけですが、留守を狙えば侵入は可能です。
 美術準備室には油絵の画材道具、キャンバス、事務机がおいてあります。また画材を収納する棚もあります。
 キャンバスには絵が描きかけの状態で描かれています。その絵は、学校のプールの風景のようですが、プールの中から巨大なウニのような、針の沢山ついた黒い山のようなものが姿を覗かしており、水着を着た高校生たちをその針で突き刺したり触手でからめとったりしています。このような不快な絵を見た探索者は0/1の正気度を失います。また第1話で絵を見た探索者なら、その2つが非常に似通ったものであることがわかります。
 事務机の引き出しには鍵がかかったものがあります。これを開けるには<鍵あけ>+20に成功するか、鍵を使用する必要があります。<知識>の1/2または適当な制作技能に成功すれば、この引き出しの鍵はちゃちなもので、職員室や他の準備室にある引き出しのものと共通していることがわかります。
 引き出しの鍵を開ければ、中から『グラーキの黙示録第2巻』が出てきます。また鍵のかかっていない引き出しからは古びた日記のようなものが出てきます。<図書館>に成功すれば中から情報を抜き出すことが可能です。
 画材を入れる棚からは瓶に入った黒い針のようなものが見つかります。<生物学>や<博物学>に成功してもこの針の正体はわかりませんが、これが少なくとも生物の一部らしく、今までに発見されたどんな生物のものとも違うことはわかります。
 また棚からは細かい細工の施された鍵も見つかります。これは体育倉庫の鍵です。もし探索者がそれと気が付かないようでしたら<アイデア>を振らすなどして鍵の装飾が体育倉庫の錠と似ていることを思い出させてください。
 あまりにも長い時間滞在しているようでしたら、先生を部屋に帰して探索者を追い出してください。

13.グラーキの黙示録
 この本は全編通して英語で書かれています。よって全てを理解するには<英語>に成功し平均4週間かける必要があります。しかし本を開くと大量のメモが挟まれ癖のあるページが見つかります。メモはこの本に出てくる独特の単語を書き留めたもので、これを使用すると<英語>ロールに+20%のボーナスが付きます。またメモと一緒に東先生が早苗と一緒に写っている写真が見つかります。
 癖のあるページには見出しに「棘のみを招来する」と書かれています。ここのページのみを解読は1時間あれば可能です。この部分を解読した探索者は<グラーキの棘の招来>の呪文を覚えることが出来ます。
 またメモには“The Green Decay”とでかでかと書かれています。<図書館>に成功すれば本の中からこの単語が書かれたページを見つけることが出来ます。ここの部分の解読も1時間あれば可能です。解読に成功すれば<緑の崩壊>の呪文を覚えることが出来ます。
 またこの本は全てを解読すると合計で+3%されます。また上記の呪文以外に<ナイハーゴの葬送歌>を覚えることが出来ます。
 全ての解読にかかる時間とプラスされる<クトゥルフ神話>技能は第1巻の場合も同様です。

14.グラーキの棘の招来
 この呪文は「ひきだしの中身」掲載、内山靖二郎作のCoCシナリオに登場したものです。ネタバレ回避のために具体的なシナリオ名は伏せておきます。
 グラーキの従者を作るために必要な棘は、グラーキの体にしか生えていません。故に、棘を入手しようと思えば、グラーキを招来する必要があります。
 しかしそれではあまりにも手間で、入手しようとするアイテムとリスクが釣り合いません。なので過去のカルティストは棘だけを招来する方法を考え出したようです。
 方法はいたって簡単で、真夜中に大きな池や湖のほとりでSIZ5以上の生贄をささげるというものです。ただし、その生贄には生きたまま火をつけ、様々な金属を混ぜた粉末をくべて呪文を唱える必要があります。
 この儀式には1時間ほどかかり、1ポイントのPOWと1D8の正気度を必要とします。儀式が終わると、生贄の腹を切り裂いて、生贄のSIZの5分の1の本数の棘が生えてきます。
 今回はプールを湖に見立てて、犬を生贄に呪文を使用しました。

15.東先生の日記
 9月13日
 娘がまたいじめられて帰ってきた。娘は否定するが私にはわかる。担任には何度も注意して見ておくように言っているのだが、改善される気配がない。同じ学校にいるのに私が勤務中の時は娘を見ていてやれない。口惜しい。
 9月15日
 どうしてこんなことに。頭が混乱してる。とりあえず娘は大丈夫だと祈るしかない。絶対に殺す。
 9月30日
 ようやく最後。流石に先生にはばれてしまった。すんだことはしょうがないと言ってくれたが。憎いクソガキは倉庫に叩き込んだ。両手足切ったから逃げられはしないだろう。気をつけていれば死なないからいくらでも痛めつけられる。今までの娘の痛みを何百倍にでもして返してやる。
 10月9日
 あのメスガキ苦しむ顔は最高に絵になる。1つ悩ましいのはそんな絵を発表する機会がないということだ。風景を描いている時より楽しいのに、口惜しい。
 11月28日
 娘に画材を届けに行った。あんな狭くて湿気って匂いのきつい地下通路から早く出してあげたい。だけど許してくれない。私にできるのはこうやって娘が暇をつぶすためのものを届けるくらいだ。
 12月8日
 本の一冊目が見当たらない。どこに置いたっけ。まあ特に目的のための目ぼしい情報はなかったからいいか。

16.再び地下通路
 日記を読んだ探索者は第1話で脱出に使った地下通路に再び赴くかもしれません。
 地下通路の入り口は少し隙間が開いていて、先日嫌というほど嗅いだ悪臭が漏れ出しています。地下倉庫にあるバールを使用すればこじ開けることが可能でしょう。
 地下通路の大部分は不快な玉虫色の液体で汚れ、サナエさんの部屋へ続く道以外はふさがれています。幸いにもこの液体が動き出す気配はありません。ただし初めて液体を見た探索者は0/1の正気度を失います。
 サナエさんの部屋は扉が破壊されています。よく見れば外からの衝撃で壊れたことがわかるでしょう。
 部屋の中は殆ど液体で汚れていません。中には「東早苗」と名前の書かれた画材道具一式、多くのキャンバス、大量の本が置いてあります。
 キャンバスには美術準備室でみたような絵が描いてあります。ただこちらの方がよりまがまがしい印象がするでしょう。また絵には母親やいじめられていた生徒らしき人物を描いた絵もありますが、それらは刃物のようなもので切り刻まれています。
 <目星>に成功すれば本の中から『グラーキの黙示録第1巻』を見つけることが出来ます。この本には破られてなくなっているページが一部あります。

17.体育倉庫を開く
 美術準備室で見つけた鍵を使うことによって体育倉庫を開くことが出来ます。あれだけかたくなに開くことを拒んでいたことが嘘のように、錠はあっさり開きます。
 中は真っ暗で、他の倉庫にありそうな体育の用具などは一切なくだだっ広い印象を受けます。倉庫の奥に人影らしきものが見える以外は特に怪しいものもありません。
 奥にある人影は10年前、早苗を校舎の屋上から突き落とした犯人である紅谷葵です。彼女は卒業アルバムで見たような旧式の制服を着ています。ただし彼女の両手足は切断されており、首輪で繋がれて逃げられないようにされています。このような状態の少女を見た探索者は0/1D3の正気度を失います。
 葵は探索者を見ると戸惑ったような、怯えたような表情を見せます。言葉を発することはなく探索者の呼びかけにも応答しません。
 探索者が葵に気を取られていると、加奈子が体育倉庫にやってきます。<聞き耳>に成功すれば後ろに加奈子が立っていることに気が付きますが、そうでない場合は倉庫の扉を閉じられて初めて気が付きます。
 倉庫の扉を閉じた加奈子は電気をつけながら探索者に話しかけてきます。
 「人の持ち物を勝手に盗んで……こそこそ他人の過去を嗅ぎまわって……規範意識のかけらもない生徒……そういう生徒が娘をあんな姿にしたんだわ。非行の目は早めに摘んでおかないとね……」
 加奈子はそういうと手に持ったグラーキの棘を構えて探索者に襲い掛かってきます。
 彼女は耐久力が0になるとその場に倒れ呻いて動かなくなります。
 探索者が外に出ると、もう日は暮れてすっかり夜になっています。校舎の電気は消えていてあたりを不気味な静けさが覆っています。しかしプールだけが不自然なまでに煌々と照らされています。

18.プールでの儀式
 探索者がプールにやってくると、大きめの台に人が寝かせられていてそばには見覚えのある人物が立っています。その人物は紛れもなく東早苗本人です。
 早苗は探索者たちに気づくと振り返り「もう遅い。儀式は終わった。あとはグラーキ様がおいでになるのを待つだけ」と言います。彼女の言う通りシナリオの都合上どのようなタイミングでプールにやってきても儀式を阻止することはできません。
 彼女の発言のタイミングとほぼ同時に、プールの水面が震え水位が突然増して水があふれ出します。とてつもない量の水がプールから湧きだしたとしか思えない現象です。さらにその水はプールのものとは思えないほど生暖かく、異質に感じます。この水は呪文によって開いた門からイギリスのニューブリテン島の湖から流れてきたのです。
 プールからあふれ出した水は探索者の腰まで迫り、水が引いていくときに探索者をプールに引きずり込もうとします。これに耐えるにはSTR*5のロールに成功する必要があります。成功すればその場に留まれますが、失敗すればプールに引きずり込まれてしまいます。ロールの際に探索者が何かに掴まるなどのロールをすればボーナスを与えてもいいでしょう。
 水が落ち着くとそこには早苗の姿だけがあり生贄とそれを乗せていた台はプールへ流されてしまいます。早苗は「生贄が……まあいい、ならあんたらを生贄にするだけだ!」と叫んでプールの方へ向かって誰かを呼びます。すると水からグラーキの従者となった水泳部員3人と顧問が現れ探索者へ襲いかかってきます。
 戦闘中はグラーキの従者は探索者へ組み付きをして動きを封じようと動きます。全員の動きを封じると早苗が動き出してグラーキを呼び出し探索者を生贄にします。
 探索者は<緑の崩壊>を唱えグラーキの従者の破壊を試みることが出来ます。本来は詠唱に10分かかりますがこの戦闘では6R程度で完了することにしてよいでしょう。詠唱を始めると早苗は呪文に気が付いてグラーキの棘を構え、詠唱者に向かって攻撃を仕掛けてきます。
 また戦闘の途中ですがプールへ引き込まれた生贄を助けなければいけません。生贄は台に乗っているため一瞬どこまで行ってしまったか見ることが出来ますが、それも直ぐに沈んでしまいます。救出には2R以内に<水泳>を成功させる必要があります。3R以降からは溺れのルールにのっとり生贄へダメージを与えていきます。このルールは探索者の選択に大きく関わるのではっきりと明示したほうがいいでしょう。
 救助のためにプールへ入った探索者はプールの底に何か大きな生き物がうごめくのを感じることが出来ます。本来はあまり深さのないプールですが、今は吸いこまれるほどの闇が底一面に広がっています。よくそこを見ると何か棘の沢山ついた巨大な生きものが蠢いているような印象を受けます。その生き物は次第に水面に上がってきていて、徐々に姿もはっきりと見えます。その生き物は気味の悪い絵に描かれたあの化け物だと探索者は容易に想像が出来ます。この生き物を見てしまった探索者は1/1D10の正気度を失います。
 またプールサイドからもこの不気味な生きものが底で蠢く姿は確認できます。それをみた探索者は1/1D6の正気度を失います。
 <緑の崩壊>が成功するか早苗の耐久力を0にしたら、彼女は元々生贄のいた場所に血を流しながら倒れ込みます。それに気が付いた早苗は慌てた様子で「違う……私ではだめ……生きている人間じゃないと……」と呻きその場でもがきます。血が水に流れ込み混じり合うとそれに反応したようにプールの水面が振動を始めいくつもの渦が巻き始めます。そして水面から突然触手のようなものが突き出して早苗を絡めとりプールへ引きずり込みます。その動きは決して早くはありませんが誰にも止められない威圧をもって行われます。早苗が水面へ消えるのと同時にプールの増水も引いていき、後には何も残りません。探索者の周りをいつも通りの夜の学校の静けさが包み込むでしょう。なおこのイベントの時にグラーキの従者で行動可能なものが残っていれば、それもまとめて触手に引き込まれます。
 助けた生贄は大量の水を飲んでいるため<応急手当>が必要です。これは何度でも試みることが出来ます。

19.事件のあと
 儀式を阻止したあと、プールから出てきた探索者を待っていたのは理事長でした。彼女は探索者を見つけると「あら、終わったの。後片付けはしておいたから、ゆっくり休んで頂戴」と声をかけてどこかへ去ってしまいます。追いかけようとしても、直ぐに見失ってしまいます。
 探索者が体育倉庫へ戻ると、倉庫には再び頑丈な錠が取り付けられていました。加奈子の死体も見当たりません。
 その後、結局行方不明になった水泳部員は見つかりませんでした。篠原は水泳部を辞めて、帰宅部になりました。特に親しくなった探索者の部活に顔を出していることにしてもよいでしょう。
 紅谷を生かしたまま放置した場合でも、探索者の友人曰く、最近体育倉庫から聞こえてくるはずの呻き声がしないとのことです。探索者が聞きに行っても全くしません。鍵は元々ついていたものと同じで<鍵あけ>を試みてもびくともしません。

20.報酬
 シナリオから生還した探索者は一律で1D10の正気度を回復します。さらに生贄を救助した場合と紅谷葵を解放した場合さらに1D6ずつ正気度を回復します。
 全員任意の芸術技能と<オカルト>に対し成長ロールを行うことが出来ます。またを救助した場合<水泳>と<応急手当>にも成長ロールを試みることが出来ます。
posted by 新橋九段 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | CoCシナリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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